2014/08/21

DEXTER CALLING... デクスター コーリング... / Dexter Gordon デクスター ゴードン

DEXTER CALLING
1. Soul Sister     :1961.5.9
2. Modal Mood     :1961.5.9
3. I Want More     :1961.5.9
4. The End Of A Love Affair     :1961.5.9
5. Clear The Dex     :1961.5.9
6. Ernie's Tune     :1961.5.9
7. Smile     :1961.5.9
Dexter Gordon (ts) , Kenny Drew (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ

 ジャズシーンからの長期離脱を経て、その後の契約先となる<ブルーノート>での第一回復活セッション、これが1961年5月6日と9日の2日間行われました。
 2日間のセッションのうち1曲だけお蔵入りして、そのほかの曲はそれぞれの日付毎に、前回ご紹介した<DOIN' ALLRIGHT>と今回紹介の<DEXTER CALLING...>に収められています。

 復活第一弾の'60年セッション(<THE RESURGENCE OF DEXTER GORDON>収録)は半分が3管、前回の'61年5月6日セッションが2管、そして満を持しての5月9日セッションは、ケニードリュー・ポールチェンバース・フィリージョージョーンズとのワンホーンカルテット!いよいよフロント1管で勝負に出ました。


 さて、選曲を見てみますと、これがなかなか面白い。

 1,3,6はシャーリー クラーク監督の実験映画<The Connention>のために書かれた曲とのこと。
 ジャンキージャズマン達の日常を捉えたドキュメンタリータッチの映画みたいだけど、デックスの3曲がどのように関わっているかは不明です。

 是非一度見てみたい映画ですが、DVDで30,000~40,000円と驚きのプレミア価格なんですよね。
 下の映像に映画の一部が使われていますので、これとYouTubeの映画予告編で我慢します。
 でもいつかは全編見てみたい。

 





 話を戻して_

 2,5はケニードリュー作のミディアムアップナンバー。
 そして、4は1950年の歌ものスタンダードナンバーで邦題<情事の終わり>。スローな元歌をデックスはアップテンポで軽快に演ってます。

 知らなかったのですが7も有名曲のようで、1936年のチャーリー チャップリン主演「モダンタイムズ」の挿入歌が元歌とのこと。

 後日付けられた歌詞を元にタイトルが決まり、スタンダードの仲間入りとなった曲でした。



 こんな風に1枚のアルバムからどんどん話が広がってのはすごく楽しいもので、またそれを思い返しながら聴き直すと違ったイメージを膨らませることができます。

 聴けば聴くほど味が出る。

 このアルバムに限らずジャズアルバムってそういう傾向があって、インパクト勝負ではなく何度も聴いたうえで評価が高まるっていうそんな音楽の代表だと思います。





2014/08/12

ROLLINS PLAY FOR BIRD ロリンズ プレイ フォー バード / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

 ROLLINS PLAY FOR BIRD
1. Bird Medley : I Remember You/My Melancholy Baby/Old Folks/They Can't Take That Away From Me/Just Friends/My Little Suede Shoes/Star Eyes     :1956.10.5
2. Kids Know     :1956.10.5
3. I've Grown Accustomed To Her Face     :1956.10.5
Kenny Dorham (tp) , Sonny Rollins (ts) , Wade Legge (p) , George Morrow (b) , Max Roach (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ



 いいですねー、何度聴いても飽きないリラックスした演奏です。
 もしかしたら、ソニー ロリンズのアルバムの中で一番好きかもしれません。

 前半は、チャーリー パーカーの十八番をメドレーにしたもの。1曲ずつインプロバイザーが変わって曲が進み、最後の曲だけは2管+ピアノでソロを回して締めるという流れ。
 テナー・トランペット・ピアノがそれぞれ交代で演奏を進めるのは、曲が変わったってことを分かり易くするためでもあるのでしょうか。
 各曲内にはマックス ローチのドラムバースがアクセントとして置かれ、心地いい演奏と緊張感ある間合いにより更に演奏を素晴らしいものにしています。
 もちろんメインディッシュはソニー ロリンズのテナーテクニック。じっくりと耳を澄ませて味わいたい約27分間です。

 バードメドレーの次はソニー ロリンズお得意のキュートなワルツ。<VALSE HOT>もイイですけどこっちもイイ。
 そして、締めはミュージカル<マイ フェア レディ―>の挿入歌<忘れられない彼女の顔>。ミュージカルファイナルの曲ということでこのアルバムでも最後に配置したのでしょうか。






 これは、<ROLLINS PLAY FOR BIRD>の<エスクァイア レコード>での再発ジャケット。
 <エスクァイア レコード>のジャケットは検索するときにいつも気になる存在で、「良い味出してる」と「これヤバいでしょ」のギリギリの線。

 <RELAXIN'>だってこの通り。



 
SONNY BOY
4. The House I Live In     :1956.10.5
Kenny Dorham (tp) , Sonny Rollins (ts) , Wade Legge (p) , George Morrow (b) , Max Roach (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 そして、同じ日に録音された1曲もチェック。
 このアルバムの他の4曲は<TOUR DE FORCE>でチェック済みです。
 何故か分散収録されてしまって、今ではこのアルバムが中途半端になっちゃってます。
 CD発売時に4の<The House I Live In>が<ROLLINS PLAY FOR BIRD>のボーナストラックになっているようでその方が整理されてイイとも思いますが、やはり<ROLLINS PLAY FOR BIRD>は<I've Grown Accustomed To Her Face>で締めてもらいたいとも思うし。<The House I Live In>もすごくイイ演奏だからこっちで締めてもいいかも・・・と、確かにすごく迷います。


 既発のものと3曲もダブってたという、ちょっとファンにとっては騙された感があったアルバムだと思いますが、プレスティッジとしては2曲が未発表だからイイか的な乗りだったのでしょうか。

 パーソネルとしてケニー ドーハムが書かれていますが、ほんのちょっと遠いところで鳴ってるだけで、殆どソニー ロリンズのワンホーンです。
 そういうことで、同年12月7日のワンホーンセッションのものと一緒にしたのでしょう。




 これは珍しい。'56年10月セッションの5人が集まった写真!



2014/08/05

BENNY GOLSON AND THE PHILADELPHIANS ベニー ゴルソン アンド ザ フィラデルフィアンズ

BENNY GOLSON AND THE PHILADELPHIANS
1. You're Not The Kind     :1958.11.17
2. Blues On My Mind     :1958.11.17
3. Stablemates     :1958.11.17
4. Thursday's Theme     :1958.11.17
5. Afternoon In Paris     :1958.11.17
6. Calgary     :1958.11.17
Lee Morgan (tp) , Benny Golson (ts) , Ray Bryant (p) , Percy Heath (b) , Philly Joe Jones (ds)
Nola's Penthouse Sound Studios, NYC

 1958年のベニー ゴルソンは、10月にジャズメッセンジャーズで超有名盤<Mornin'>を録音し、その翌月に自身名義で<THE OTHER SIDE OF BENNY GOLSON>と当アルバムの2枚を録音、その2日後からジャズメッセンジャーズのヨーロッパツアーに同行するという充実の日々を送っていたようです。
 前年に発表した2作も含めて、それまで書き溜めてあった曲を一気に世に出して開花させ始めた時期であったということができると思います。




 これまで聴いてきたリーダー作3枚は、アレンジに重きを置いていたように思いますが、このアルバムはストレートなハードバップ路線でまとめているような印象です。

 また、曲がイイ。
 アップテンポものもスローも、いわゆる歌ものスタンダードとは違う、ちょっとひねったメロディが効いています。
 1・2・3とブルースを挟みながら煽って、4・5で収め、6でクロージングっていうアルバム全体の流れが絶妙。
 そしてタイトルの通り、メンバーをフィラデルフィア出身者で固めて、若いころから地元でセッションするなど顔を合わせていたのでしょうか、チームワーク抜群の演奏を聴かせてくれます。

 前3作で「ベニー ゴルソンはちょっと路線が違うな」と思った人は、この作品でまた戻ってくることでしょう。





 ブルーノートから再発されて、ジャケットがこう変ったようです。
 ユナイテッド アーティスツ盤もそうですが、もちょっと男っぽいというか、ごつごつした感じでもよかったんじゃないかなぁ。