2014/03/28

SONNY ROLLINS PLUS 4 ソニー ロリンズ プラス フォー / SONNY ROLLINS ソニー ロリンズ

SONNY ROLLINS PLUS 4
1. Valse Hot     :1956.3.22
2. Kiss And Run     :1956.3.22
3. I Feel A Song Comin' On     :1956.4.28
4. Count Your Blessings     :1956.3.22
5. Pent-Up House     :1956.3.22
Clifford Brown (tp) , Sonny Rollins (ts) , Richie Powell (p) , George Morrow (b) , Max Roach (ds)

 第1回雲隠れから復帰を果たしたソニー ロリンズは、クリフォード ブラウンとマックス ローチのカルテットに迎えられます。
 レギュラーメンバーだったハロルド ランド(ts)の後釜でソニー ロリンズが参加したという形です。
 クリフォード&マックス名義でレコーディングした後、契約の関係上、プレスティッジにソニー ロリンズ名義で当アルバムのレコーディングを行いました。
 マイルスクインテットやジャズメッセンジャーズに並ぶ活躍を期待していたファンも多かったと思います。


 が、この後悲劇が起こり、クインテットが消滅してしまうんですよね。



 なんという運命。



 クリフォード・マックス・ソニー揃い踏みで残したアルバムのうちの貴重な1枚です。










STUDY IN BROWN
1. Cherokee (Indian Love Song)     :1955.2.25
2. Jacqui     :1955.2.25
3. Swingin'     :1955.2.23
4. Land's End     :1955.2.23
5. George's Dilemma (Ulcer Department)     :1955.2.24
6. Sandu     :1955.2.25
7. Gerkin' For Perkin'     :1955.2.23
8. If I Love Again     :1955.2.24
9. Take The "A" Train     :1955.2.23
Clifford Brown (tp) , Harold Land (ts) , Richie Powell (p) , George Morrow (b) , Max Roach (ds)


 その人となりや生活スタイルが創造する音楽にもにじみ出るのでしょうか。
 そんなことを考えさせるアルバムです。

 そういう意味で個性的。

 午後の暖かい日差しが入り込む喫茶店に似合うかな。
 ジャズは夜だけじゃないんです、夜だけじゃもったいない。





 結局、ソニー ロリンズ名義のアルバム<SONNY ROLLINS PLUS 4>がラストレコーディングになってしまったクリフォード。甘美な音色と華麗なテクニックをもつ26歳の若者が自動車事故で逝ってしまって、ハードバップ界は泣きました。








2014/03/17

マイルスとコルトレーン #1

 これまでコルトレーンのアルバムは、<BLUE TRAIN> <LUSH LIFE> <COLTRANE> <DAKER>と単独名義のもの(一部再発後単独名義になったもの)を<BLUE TRAIN>から年代を遡ってご紹介してきました。
 これからは、サイドマン、あるいはジャムセッションメンバーとして参加したアルバム(ただしマイルスコンボ以前は省略します)を紹介して<BLUE TRAIN>まで戻りたいと思います。




 先ずはこちら。

'ROUND ABOUT MIDNIGHT
1. 'Round Midnight     :1956.9.10
2. Ah-Leu-Cha     :1955.10.26
3. All Of You     :1956.9.10
4. Bye Bye Blackbird     :1956.6.5
5. Tadd's Delight     :1956.6.5
6. Dear Old Stockholm     :1956.6.5
7. Two Bass Hit     :1955.10.26
8. Little Melonae     :1955.10.26
9. Budo     :1955.10.26
Miles Davis (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)



お次はこちら。

THE NEW MILES DAVIS QUINTET
1. Just Squeeze Me     1955.11.16
2. There Is No Greater Love     1955.11.16
3. How Am I To Know     1955.11.16
4. S'posin'     1955.11.16
5. Bye Bye (theme)     1955.11.16
6. Stablemates     1955.11.16
Miles Davis (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)



そしてかの有名なマラソンセッション4部作。

RELAXIN' WITH THE MILES DAVIS QUINTET
1. If I Were A Bell     :1956.10.26
2. You're My Everything     :1956.10.26
3. I Could Write A Book     :1956.10.26
4. Oleo     :1956.10.26
5. It Could Happen To You     :1956.5.11
6.Woody'n You     :1956.5.11
Miles Davis(tp) , John Coltrane(ts) , Red Garland(p) , Paul Chambers(b) , Philly Joe Jones(ds)

COOKIN' WITH THE MILES DAVIS QUINTET
1.My Funny Valentine     :1956.10.26
2.Blues By Five     :1956.10.26
3.Airegin     :1956.10.26
4.Tune Up〜When Lights Are Low     :1956.10.26
Miles Davis (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)

WORKIN' WITH THE MILES DAVIS QUINTET
1.It Never Entered My Mind     :1956.5.11
2.Four     :1956.5.11
3.In Your Own Sweet Way     :1956.5.11
4.The Theme I     :1956.5.11
5.Trane's Blues     :1956.5.11
6.Ahmad's Blues     :1956.5.11
7.Half Nelson     :1956.10.26
8.The Theme II     :1956.5.11
Miles Davis (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)

STEAMIN' WITH THE MILES DAVIS QUINTET
1.Surry With The Fringe On Top     :1956.5.11
2.Salt Peanuts     :1956.5.11
3.Something I Dreamed Last Night     :1956.5.11
4.Diane     :1956.5.11
5.Well You Needn't     :1956.10.26
6.When I Fall In Love     :1956.5.11
Miles Davis (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)





・・・・・





 コルトレーンがマイルスコンボに参加して初めてのレコーディングは、<'ROUND ABOUT MIDNIGHT>の第1回セッション(1955.10.26)でした。コルトレーンは、レコーディングの経験はあったようですが、それまでたった一度しかソロスペースを与えられなかったようです。

 コロンビアでは、数テイク録音した後にテープを切り貼りして編集するという方法で曲が作られました。マイルスのアルバムなので当然マイルスが気に入ったテイクが採用されているのでしょうけど。(いや、プロデューサーのテオ マセロの方が実権があったのかな。)
 良く聞くとつなぎ目が分かるし、今はYouTube等で編集前のオリジナルテイクを聴くことができます。

 一方のプレスティッジにおけるセッションは、これまで同様、ほぼ一発取りという方法でレコーディングしています。特にマラソンセッション時にはアルバム4枚分の曲数を2日間でレコーディングしてしまいます。契約を全うするためとはいえ、すごい勢いですよね。

アルバムとしては<THE NEW MILES DAVIS QUINTET>が初めに発売されました。このセッションの前に<'ROUND ABOUT MIDNIGHT>の第1回セッションがありましたが、プレスティッジ契約中であり、未だ発売しないという約束でコロンビアに録音したことによるものでした。

 マイルスコンボの人気が高まったことで、結局コロンビアというメジャーレーベルに移籍することになったため、プレスティッジはこれ以降戦略的(つまり、移籍前に録音したものをコロンビアのアルバムと並行して小出しして発売するという戦略)にアルバムを発売していくこととなります。
 当時は録音時期と発売時期が異なるのは当たり前のことで、アルバムを発売順に並べると、また面白いことが見えてきます。



 ところで_

 マラソンセッション2日目の前に一時コルトレーンはドラッグと酒癖の悪さでバンドメンバーを外されていたようです。ライブにはソニーロリンズを入れて演っていたようですが、レコーディングにはコルトレーンを戻しています。これも契約の関係でしょうか。



 演奏はと言いますと_

 マイルスの指示かコルトレーンの判断かわかりませんが、マイルスのプレイと対照的になるようにコルトレーンは音を敷き詰めるように意図的に演奏していると思われます。

 メロディーメイカーとしてのアドリブ構成で抜群の力を誇るマイルスと、コード進行を重視したスピード感のある音の羅列でアプローチするコルトレーン。

 ここからしばらくの間コルトレーンの演法がこの延長線だったと思うので、やはり自分のスタイルを考えたうえでこのように作り上げたのではないかと思っています。
 この当時のコルトレーン(今でもこの当時の評価はあまり変わっていませんが)は「ヘタクソ」という評判だったようですが、私的には一風変わった味のあるプレイで、むしろ個性的で魅力的に聴こえます(曲によってはきわどいものもありますが。Woody'n Youみたいに)。





   
MILES DAVIS QUINTET AT PEACOCK ALLEY
1. Intro     1956.7.14
2. Ah-Leu-Cha     1956.7.14
3. A Foggy Day     1956.7.14
4. All Of You     1956.7.14
5. Woody'n You     1956.7.14
6. Walkin'     1956.7.14
7. Two Bass Hit     1956.7.21
8. Well, You Needn't     1956.7.21
9. Billy Boy     1956.7.21
10. All Of You     1956.7.21
11. Oleo (Airegin)     1956.7.21
12. Airegin (Newk, #2) / Bye Bye (theme)     1956.7.21
13. Sign Off / Bye Bye (theme)     1956.7.21
Miles Davis (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds) , Spider Burks (announcer)



 そして、ピーコックアレイというところで行われたライブのエアチェック盤。
 ジャケットに1956年とあるが1957年説の方が有力らしいんだけど、聴く分にはどっちでもあまり変わりはありません。
 ポールチェンバースのベースがあまり聞こえないのが凄く残念。
 コルトレーンはアルペジオパターンを多用したプレイ。これはアドリブの参考になります。





 この写真の場所は<PEACOCK ALLEY>らしいし、後ろにマイルスもいるしドラムもフィリージョーぽいから、もしかしてレコーディングした日に撮ったものでしょうか?
  この、サックスのベルを支えている紐はなんだ?

2014/03/12

THE OTHER SIDE OF BENNY GOLSON ジ アザー サイド オブ ベニー ゴルソン / Benny Golson ベニー ゴルソン


1. Strut Time     1958.11.12
2. Jubilation     1958.11.12
3. Symptoms     1958.11.12
4. Are You Real     1958.11.12
4. Cry A Blue Tear     1958.11.12
5. This Night     1958.11.12
Curtis Fuller (tb) , Benny Golson (ts) , Barry Harris (p) , Jymie Merritt (b) , Philly Joe Jones (ds)

 トロンボーンとテナーサックスの2管クインテットという構成で奏でるこのアルバムは、全体として暖かい音色が前面に出て、とてもふんわりとした柔らかい雰囲気を出しています。
 これは、ベニーゴルソンのテナーの吹き方にも関係があるように思います。
 特にテーマ部分はトロンボーンに合わせてハーモニー重視で吹いているように聴こえます。

 ベニーゴルソンと言えば作曲家・編曲家としての面がクローズアップされがちですが、テナーサックスプレイヤーとしても個性が光るいぶし銀の演奏を聞かせます。
 アドリブをよく聞くと結構ハードブローしてるんですよね、何となくソフトな演法というイメージがあるのですがそんなことはないようです。

 そして、もう一方のフロントであるカーティスフラーは、ハードバップ界2大トロンボニストの一方を担う存在。
 ハーモニー重視のセッションには欠かせないトロンボーンという楽器を2管の一方に据えたことで、このアルバムの方向性が分かるような気がします。



 ベニーゴルソンは、このアルバム制作の約1ヶ月前にジャズメッセンジャーズに参加して<MORNIN>に3曲提供、その後1年ほど在籍しツアーを中心に活動しました。
 このアルバムは、ジャズメッセンジャーズ在籍直後に作られたもので、<リバーサイド>との契約によるもの。この数日後にまた別のレーベルとの契約でアルバム<Benny Golson And The Philadelphians>が作られることとなります。

2014/03/08

AUTUMN LEAVES 枯葉 を演ってみた。

A5サイズの6穴バインダに楽譜を綴じることにしました。
しかも電話帳用のアルファベット見出しが付いていたのでちょうどいい!


 さてと。

 早速ですが、まずは主キーを判断しましょうか。
 #が3つなのでAかな、と思いきや、曲の最後のコードがF#-。
 ということは主キーはF#-ですか。
 はい、これが平行調と言われるもので、A調もF#-調も同じ#3つの調だってことです。
 この場合どっちが主キーなんでしょう?
 何となくマイナー曲調だから、やはりF#-でしょうか?

 よく見ると、| B-7 | E7 | Amaj7 |のメジャーⅡ-Ⅴ-Ⅰと、| G#-7♭5 | C#7♭9 | F#- |のマイナーⅡ-Ⅴ-Ⅰで、ほぼ全編に渡り進んでいることが分かります。
 つまり、この曲のコード進行上、転調しても同じスケールでアドリブすることができるということです。 

 となると、逆にみんな同じ様なアドリブになる可能性が高いので、如何に創造的に個性的にフレーズを作れるかがポイントということですか。
 たとえば、2種類のドミナント7th(Amaj7に対するドミナント7thの「E7」とF#-に対するドミナント7thの「C#7」)をどう演るかを探ってみるとか、平行調だけどメジャーⅡ-Ⅴ-ⅠとマイナーⅡ-Ⅴ-Ⅰを意識して演るとか。

 単純なコード進行の曲は簡単なようで実は難しいですね。





 さて、


 ジャズ界の枯葉と言えば「あれ」と「あれ」でしょうが、まずご紹介するのは「あれ」のアレンジ元ネタと言われているこれ(*1)。
 イントロの雰囲気は確かに同じような感じがしますが、やはり「あれ」はあれ、「これ」はこれですね。


 そしてやはり、どうしてもこっちの「あれ」は外せません。




(*1)1950年代も同じようなアレンジで演ってたのでしょうが、この音源はたぶん最近のものです。サックスがフューチャーされていたのでこれをご紹介します。

2014/03/06

INTRODUCING WAYNE SHORTER イントロデューシング ウェイン ショーター / WAYNE SHORTER ウェイン ショーター


INTRODUCING WAYNE SHORTER
1. Blues A La Carte     :1959.11.9
2. Harry's Last Stand     :1959.11.9
3. Down In The Depths     :1959.11.9
4. Pug Nose     :1959.11.9
5. Black Diamond     :1959.11.9
6. Mack The Knife     :1959.11.9
Lee Morgan (tp) , Wayne Shorter (ts) , Wynton Kelly (p) , Paul Chambers (b) , Jimmy Cobb (ds)

 ウェイン名義のデビュー作は、ジャズメッセンジャーズに迎え入れられる直前(又は直後?)の時期のこのアルバム。
 3ヶ月前のウィントンケリー名義で発売されている同一メンバーによるレコーディングは、参加メンバーのオリジナルとスタンダードで構成されているのに対して、このアルバムはラスト曲を除いてウェイン自身のオリジナルで占められています。
 本人のオリジナルのみの構成は、モンクなど一部例外を除いては異例だったようですね。

 しかし、異例だけあってウェインのオリジナルメロディーは癖になる新しさがありますよね。
 ツボを外したひねり具合や、ちょっと変わったメロディーの落とし所など、ビバップ~ハードバップ路線とは違うアプローチでジャズを推し進めるパワーを感じます。
 そのある種の違和感を正統派ハードバップミュージシャンの屋台骨の中でぐつぐつと煮込んだような、そんな印象です。

 そして、デビューアルバムまでのウェインの経歴が実は物凄い。
 詳細は他のサイトをご覧いただくとして、とにかく多才で何をやっても成功したと思えるほど。
 もちろんこのアルバム以降も凄い道を進むことになりますが、まずここから5年ほどの間は、ジャズメッセンジャーズの一員として活動することとなります。