2015/02/11

CATTIN' WITH キャッティン ウィズ / John Coltrane And Paul Quinichette ジョン コルトレーン アンド ポール クイニシェット

CATTIN' WITH
1. Cattin'     :1957.3.17
2. Sunday     :1957.3.17
3. Exactly Like You     :1957.3.17
4. Anatomy     :1957.3.17
5. Vodka     :1957.3.17
John Coltrane, Paul Quinichette (ts) , Mal Waldron (p) , Julian Euell (b) , Ed Thigpen (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 10歳年上の先輩ポール・クイニシェットのリーダー作にゲスト演奏したのか、はたまたタイトル通りこれはコルトレーンのリーダー作とみなしたほうがいいのか。
 当時の知名度やリズムセクションの人選から言ってやはり前者なのかなと思いますが、存在感ではコルトレーンが際立っているように思いますが贔屓目でしょうか。

 レスター世代の先輩に今の自分のプレイスタイルを遠慮なくぶつけたといった爽快感があって、同じテナーなのに全く別なスタイルを楽しむことができます。

 この頃になるとコルトレーンは、プレスティッジやブルーノートで重ねできたセッションの成果により独自のスタイルをスムーズに出していて、これまでのビバップ的なフレーズとは違ったメロディーの組み立て方が唯一無二の個性として定着しているように感じます。

 コルトレーンのフレーズはなかなか真似しようと思ってもできないと思います。なにかアプローチが違うのでしょう。
 渋い選曲のスタンダードナンバー< Sunday >の後半で聴かせるフレーズは圧巻です。



 さあそして、このレコーディングの半月後にあの自身の名前を冠した名作がレコーディングされるのです。



GROOVIN' WITH GOLSON グルーヴィン ウィズ ゴルソン / Benny Golson ベニー ゴルソン

GROOVIN' WITH GOLSON
1. My Blues House     :1959.8.28
2. Drum Boogie     :1959.8.28
3. I Didn't Know What Time It Was     :1959.8.28
4. The Stroller     :1959.8.28
5. Yesterdays     :1959.8.28
Curtis Fuller (tb) , Benny Golson (ts) , Ray Bryant (p) , Paul Chambers (b) , Art Blakey (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ

 ベニーゴルソン6作目は前回同様ニュージャズからのリリース。ジャケットは相変わらずやっつけ感ありありと思っちゃいますが、プレスティッジ系特有の独特な外し方はある意味個性的で真似できないなと。「GROOVIN'」と「WITH」と「GOLSON」の配置は頭に乗っかってるイメージ、あるいは人物と上下対象に配置するという何かの手法なのかな。



さて_

 ジャズメッセンジャーズでゴルソンとウェインショーターが交代する直前の録音で、ゴルソン名義のアルバムでは唯一アートブレイキーが参加しています。


 で、今回はオリジナル2曲がブルース、他の3曲はスタンダード。

 スタンダードは、1941年ジーンクルーパ楽団「ドラムブギー」、ロジャース&ハートの1939年ミュージカルソング「あれは何時だったのかしら」、ジェロームカーン1933年作「イエスタデイズ」。

 特に歌ものの2曲はYoutube検索で色々な人の演奏を聴きましたが、当然ながらどれも素晴しい。レスターヤング、チャーリーパーカー、エラフィッツジェラルド、サラボーンなどなど。

 スタンダードソングのバックグラウンドを調べながらアルバムを聴く、そうすると聴いているアルバムの枠を超えてどんどん世界が広がっていく、そしてまたアルバムに戻り演奏に入り込む。

 こんな聴き方もいいんじゃないでしょうか。

2015/02/08

IN A SENTIMENTAL MOOD イン ア センチメンタル ムード を演ってみた。

 デュークエリントン楽団1935年の録音。3ヶ月後にはポップチャート14位にランクインという、当時のエリントン楽団の人気ぶりがうかがえる作品です。


1935年のエリントン楽団


 エリントン楽団といえばコットンクラブ。
 店内を見渡してみると_


 キャブキャロウェイショーが終わり、店内に明かりが戻って数分。
 1920年代後半にこのクラブのレギュラーバンドだったエリントン楽団が、久しぶりに戻ってきてお客を煽る。
 3曲目はインアセンチメンタルムード。
 背中を大きく開けた女性は男の背中越しに目をつぶってダンスに身を任せる。
 グラスを運ぶ音と紫煙と喧騒がクラブを包み込む。
 開けられたドアの逆光に浮かぶ山高帽の男。
 男は、ホールのチャーリーチャプリンと軽く挨拶を交わし、そのまま舞台袖奥に消えた。


 スタッフ・出演者はすべて黒人、お客はすべて白人。
 当時の人種差別は想像を絶するものだったと思われます。
 それでも、エリントンの知名度が上がるに連れて、黒人客締め出しの厳しい規制が多少は緩んだと言われています。



 さて_

雰囲気たっぷりのこの曲のフォーマットは、スタンダードの基本A-A-B-A。
 キーはin B♭でGメジャー。
 AセクションはGメジャーの平行調Eマイナーで始まり、Aマイナー経由でGメジャーに着地。BセクションはB♭メジャーに転調。
 AからBへの移行はシャープ1個からフラット2個への転調なので、調性の違いを感じながら演るということでしょうか。


 ソニーロリンズ、エリントン&コルトレーン、デックス、ビルエバンス。
 こういう曲を演り切ることができるようになりたいなと。