2013/11/26

BLUE TRAIN ブルー トレイン / John Coltrane ジョン コルトレーン _ ブルース2曲を演ってみた

 ある曲をコピー、つまりそのミュージシャンの演奏を真似するためには、まずレコードをカセットテープにダビングします。
 そして、何度も何度もカセットプレーヤーの巻き戻しボタンをキュルっと押して、対象のフレーズを繰り返し流します。
 そうしながら楽器で音を探り当て、行きつ戻りつ1曲通せるようになるまで聴いては演り、演っては聴く。

 楽器がギターである場合は、どのポジションで演っているかは想像するしかありません。怪しい音楽専門店でブートビデオを買って観て初めて「そのポジションだったのか」とか「オープンチューニングじゃねーか」とか分かる。


 これ30年前の話。



 さて、最近は。

 スマホでAmazonからOmnibookという特定のミュージシャンの演奏を楽譜化した本をポチッと購入。在庫があれば翌々日ぐらいに配送されて早速開封。
 前日ダウンロードしておいたmimiCopyというアプリに演りたい曲を読み込ませて、70%の速度で再生(も少しゆっくり聞きたいときは50%で再生)。
 楽譜見ながら音聴きながら、くりかえし演ってみる。


 技術的な進歩は物凄いですよね。

 今回はこの「最近の方法」で演ってみたことについてのお話しです。



 まずはこちらから。

BLUE TRAIN
1. Blue Train     :1957.9.15
2. Moment's Notice     :1957.9.15
3. Locomotion     :1957.9.15
4. I'm Old Fashioned     :1957.9.15
5. Lazy Bird     :1957.9.15
Lee Morgan (tp) , Curtis Fuller (tb) , John Coltrane (ts) , Kenny Drew (p) , Paul Chambers (b) , Phily Joe Jones (ds)

 コルトレーンはまず音がイイ、ぷりっとした腰のある音。
 憧れるなぁ、こういう音。
 多少は、マイク性能やミキシング技術、イコライジングなどの組み合わせで作られた音という部分もあるかもしれませんが、基本的には変わらないのではないかと思います。
 管楽器は、レコーディングは元より、ライブでもマイクを通して演奏することがほとんどなので、プロの実音を生音で聴いてみたいです。
 やはり、管楽器は指先のテクニックより前に「音」ですよね。

 そして、シーツオブサウンズの原型ともいえる、五線譜の上の方のはみ出た辺りを多用する8分音符フレーズ。
 リーモーガンのメロディアスなアドリブとは対照的に、スケールの上下を多用したアドリブなんだけど、ヘンテコで病み付きになるんですよね。
 このスタイルは、50年代の他のサックスプレーヤーには見られないものだと思いますが、どうなんでしょう?


 このアルバムは、プレスティッジ契約中なのにブルーノートから発表されるという特例的なもので、プレスティッジでのセッション然とした録音とは違い、しっかり準備して取り組んだと思われるものとなっています。フロント3管という構成も特徴的ですよね。
 オリジナル4曲中2曲はブルースですが、ロコモーションはブルース形式に8小節のバースを付け加えたものだし、モメンツノーティスとレイジーバードはコード進行を少し変則的にしているなど、作曲者としてもヘンテコぶりを発揮させています。
 そして、唯一のスタンダード曲アイムオールドファッションド。マイルスコンボでは滅多に演らせてもらえなかったバラードを最高のフレーズで盛り上げます。

 ジャケットデザインは中途半端ですが、内容は聴きどころ満載。当然名盤として今も輝き続けています。





 さて、ここからが今回の本題。

 コルトレーンは、どんなことを考えてブルースを演っているのか。
 このアルバムの中で「JOHN COLTRANE OMNIBOOK」に載っているブルースを2曲を演ってみることで、頭の中を覗いて見ようと思います。




 まずはタイトル曲のBLUE TRAIN。
 テナーサックスではFのブルースです。
 ちなみにコンサートキー(移調楽器のキーに対する実音のキー)はE♭。
 コード進行はFブルースですのでこんな感じですね。

|F    |F    |F    |F    |
|B    |B    |F    |F    |
|C    |C    |F    |F    |



 この曲のアドリブで特徴的だと思われたのは以下の通り。

① 全てのコードにセヴンスをつける
  これはジャズの常套句。
  セヴンスをつけるということは、それぞれのコードスケールの7thの音をフラットさせるということです、念のため。
② 基本的にはコードにスケールをあてはめて演っている
③ F7の場合はフレーズにより5th又は9thをシャープさせ、B♭7の場合は11thをシャープさせます。
  何故かFとB♭では違う音をシャープさせたりしています、なんでだ?
④ 2小節目は気が向くとF7ではなく B♭7で演っています。
⑤ 9,10小節目のC7は省略してF7として演っています。





 ということで、アドリブはこんなコード進行にスケールをあてはめて演ってるようです。

|F7(#5)(#9) |F7(#5)(#9) or B♭7|F7(#5)(#9) |F7(#5)(#9) |
|B♭7(#11) |B♭7(#11)     |F7(#5)(#9) |F7(#5)(#9) |
|F7(#5)(#9) |F7(#5)(#9)     |F7(#5)(#9) |F7(#5)(#9) |






 そしてお次はLOCOMOTION。
 テナーサックスではCのブルースですが、12小節を2回繰り返した後にオマケの8小節(B♭からGまで半音づつ下がっていく進行ですね)をくっ付けています。コルトレーン作のちょっとひねったブルースです。

 単純に書けばこんなコード進行です。

|C    |C    |C    |C    |
|F    |F    |C    |C    |
|Dm7  |G7   |C    |C    |

|C    |C    |C    |C    |
|F    |F    |C    |C    |
|Dm7  |G7   |C    |C    |


|B♭   |B♭   |A    |A    |
|A♭   |A♭   |G    |G    |





 そしてこの曲で特徴的な事は以下の通り。

① 全てのコードにセヴンスをつける
  BLUE TRAIN同様、7thをフラット。
② 基本的にはコードにスケールをあてはめて演っている
  これもBLUE TRAIN同様です。
  まあ、これはコルトレーンに限らず基本中の基本ということでしょうか。
③ 9,10小節目のDm7~G7は、BLUE TRAINの時のように省略してCメジャースケールで演るんじゃなくて、Dマイナースケールをチラ見せしています(あくまでチラ見せ程度ですが)。
④ Cが続くところに、まれにC#をかませる
  こういうやり方があるんですね、おもしろい。




 で、アドリブコード進行はこんな感じでしょうか。

|C7    |C7    |C7    |C7    |
|F7    |F7    |C7    |C7    |
|Dm7   |G7    |C7    |C7    |

|C7    |C7    |C7    |C7    |
|F7    |F7    |C7    |C7    |
|Dm7   |G7    |C7    |C7    |

|B♭7   |B♭7   |A7    |A7    |
|A♭7   |A♭7   |G7    |G7    |





コルトレーンがブルースを演る時に何を考えていたか(まとめ)
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① 全てのコードにセヴンスをつける
② 基本的にはコードにスケールをあてはめて演っている
③ 9,10小節目は、省略して主キーを当てはめる
  又は、11小節目を含めてⅡ-Ⅴ-Ⅰと考えてⅡをチラ見せする
④ 同じコードが続く場合は、そのコードの#させたコードをちょっとかませてみる
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 いかがでしょうか。
 詳しい方はもっと気付いていることがあると思いますが、今の僕の知識ではこの程度のまとめになります。


 これまで「JOHN COLTRANE OMNIBOOK」の中の5曲を演ってみたことになります。
 これからは5曲で学んだことを組み入れて、引き続きアドリブ上達を目指します。
 めざせ、未熟な頃のコルトレーン!






2013/11/20

DIG ディグ ・ COLLECTORS' ITEM コレクターズ アイテム ・ BAGS GROOVE バグズ グルーヴ / Miles Davis マイルス デイヴィス

 最近また、長い距離をランしています。

 ランした後って脳が活性化してるような気がするんですよね。
 走ってるときは酸欠状態なので、何か考えようとしてもボーっとしちゃいますが、終わると急に脳に酸素が回って頭すっきりするということなのでしょうか。

 1年のうち、夏の暑い時・雪が積もった時に数か月中断してしまいますが、ランすること自体は結構長い年月続いています。
 距離とか時間とか決めないで、ちょっと走ってくるか程度の軽い気持ちで着替えて外に出ていくことが、長続きする秘訣かもしれません。

 僕の場合、何事も「軽い気持ち」で肩の力を抜いて取り組んだ方が、いい結果が出る様な気がします。





 さて、今回は以下の3枚を聴き直してみました。

DIG
1.Dig     :1951/10/5
2.It's Only A Paper Moon     :1951/10/5
3.Denial     :1951/10/5
4.Bluing     :1951/10/5
5.Out Of The Blue     :1951/10/5
6.Conception     :1951/10/5
7.My Old Flame     :1951/10/5
Miles Davis (tp) / Jackie Mclean (as) / Sonny Rollins (ts) / Walter Bishop Jr. (p) / Tommy Porter (b) / Art Blakey (ds)

 ハードバップ時代の幕開けという記念碑的アルバムとして各所で紹介されているものですが、どうもガチャガチャしてるように聞こえてしまうのは録音技術のせいでしょうか、それともアートブレイキーのドラムが少々やかましいと思ってしまうからでしょうか。
 この日のセッションにはチャーリーパーカーが遊びに来ていたので、マイルスはパーカー作Confirmationのコード進行を使ったDenialというオリジナルを演って聴かせ録音した、なんていう裏話もあるようです。






COLLECTORS' ITEMS 
1.The Serpent's Tooth (take1)     :1953/1/30
2.The Serpent's Tooth (take2)     :1953/1/30
3.Round About Midnight     :1953/1/30
4.Compulsion     :1953/1/30
5.No Line     :1956/3/16
6.Vierd Blues     :1956/3/16
7.In Your Own Sweet Way     :1956/3/16
1-4 Miles Davis (tp) / Sonny Rollins (ts) / Charlie Parker (ts) / Walter Bishop Jr. (p) / Parcy Heath (b) / Philly Joe Jones  (ds)
5-7 Miles Davis (tp) / Sonny Rollins (ts) / Tommy Flanagan (p) / Paul Chambers (b) / Art Taylor (ds)


 COLLECTORS' ITEMというタイトルも納得の1枚は、ロリンズとチャーリーパーカーのダブルテナー!53年録音と56年録音が一緒に入っちゃってる!ジャケットは拾ってきた瓶か?と3度ビックリ。
 タイトルとジャケ写は、なんで?って思いますが中身は充実しています。
 やはり聴きどころはロリンズとパーカーのアプローチの違いを感じ取るってとこでしょうか。
 あ、もちろんマイルスのプレイヤーとして、メロディメーカーとしての才能を十分に堪能したうえでの話ですが。




BAGS GROOVE
1.Bags Groove(take1)    :1954/12/24
2.Bags Groove(take2)    :1954/12/24
3.Airegin     :1954/6/29
4.Oleo     :1954/6/29
5.But Not For Me(take1)     :1954/6/29
6.Doxy     :1954/6/29
7.But Not For Me(take2)     :1954/6/29
1-2  Miles Davis (tp) / Milt Jackson (vib) / Thelonious Monk (p) / Percy Heath (b) / Kenny Clarke (ds)
3-7  Miles Davis (tp) / Sonny Rollins (ts) / Horace Silver (p) / Percy Heath (b) / Kenny Clarke (ds)


 これは、のんびりした雰囲気が売りでしょうか、テンポが速い曲でもリラックスして聞こえます。
 ロリンズのオリジナル3曲と、マイルスが当時大好きだったシカゴのピアニスト アーマッドジャマルの持ちネタBut Not For Me (ジョージガーシュインのミュージカルナンバーですね)。
 3曲もオリジナル曲を演るなんて、やはりマイルスはロリンズが大好きだったんですよね。






 マイルスと一緒に演ったロリンズは意外に少なく、ここに挙げた3枚とマイルスのプレスティッジ初期「MILES DAVIS AND HORNS」に収められている3曲、そして少し前に紹介しました「SONNY ROLLINS WITH THE MODERN JAZZ QUARTET, ART BLAKEY, KENNY DREW」に入ってる1曲(マイルスはピアノで参加)のみ。
 マイルスからは相当熱心にレギュラーメンバーになることを誘われていたように感じます。更に、ピアノを弾いてあげたり、パーカーと共演させてあげたり、自作曲を収録したりと、特別待遇だったにもかかわらず結局それは実現されず、というかロリンズが逃げ回ってたようにもうかがわれます。本当のところはどうだったのでしょうか、両者のファンとしては気になるところです。


 結局、ロリンズのジャンキー時代とマイルスがサックスプレーヤーを探している時代が重なっちゃって、一緒に演ることができなかったということなのでしょうか。


2013/11/14

'ROUND ABOUT MIDNIGHT ラウンド アバウト ミッドナイト / Miles Davis マイルス デイヴィス _ バイバイブラックバードとコード譜

 「この曲を演奏したいな」と思うプロセスには、いろいろなパターンがあると思います。

 例えば、「前々から演ってみたいと思ってた」とか、「これいいな」と突然思い立ったとか、アルバムを通して何度も聴くているうちにある曲のメロディーの綺麗さに気付いてきたとか。



 バイバイブラックバード。
 ご存知、マイルスの大定番アルバム収録曲です。
 聴く音楽のメインがジャズになり始めのころ、何度も何度も聴いてアドリブ部分も暗記しました。


'ROUND ABOUT MIDNIGHT
1.'Round About Midnight     :1956/9/10
2.Ah-Leu-Cha     :1955/10/26
3.All Of You     :1956/9/10
4.Bye Bye Blackbird     :1956/6/5
5.Tadd's Delight     :1956/6/5
6.Dear Old Stockholm     :1956/6/5
7.Two Bass Hit     :1955/10/26
8.Little Melonae     :1955/10/26
9.Budo     :1955/10/26
10.Sweet Sue, Just You     :1956/9/10
Miles Davis (tp) / John Coltrane (ts) / Red Garland (p) / Paul Chambers (b) / Philly Joe Jones (ds)

 このアルバムは、何回聴いてもカッコいいです。マイルスがプレスティッジという弱小レーベルの契約を終えてコロンビアというメジャーレーベルに移籍した第一弾なので、ジャケットデザインから選曲・編集まで万全を期して作ったものと思われます。
 いわゆる一発録りではなく、録音テープを物理的に切り貼りしている部分があることが知られています。だからと言って価値が下がるものでは全くありません(良く聞くとその部分が分かりますよ!)。
 7-10はオリジナルアルバムには未収録だったものですが、CDにはボーナストラックとして納められています。これらの曲も何度も聴いているうちに良さが滲み出てきます。
 一曲一曲のコメントを書けば尽きることがありません。また別の機会にしなければこの項が相当長くなってしまいます。

 でもせっかくだから余談を一つだけ。
 僕のスマホ(携帯電話の時代から)の着メロは「Ah-Leu-Cha」。
 この曲は、チャーリーパーカーの曲でマイルスとコルトレーンが演ってるっていう自分的ジャズ界のなかでは最高の曲のひとつだと思っています。ちなみにこの曲の前の着メロは、ビルエヴァンス「Autmun Leaves」のアドリブが盛り上がる部分、これまた何度聞いてもカッコいい!






 さてさて、「この曲を演りたい」「アドリブしてみたい」と思った時の取り組み方について、

 バイバイブラックバードを題材に、ひとつの方法をご紹介します。



準備するもの1~3


1.楽器
 何の楽器でもオッケーです、ドラムだってコンガだって。
 ただし、これ以降の説明は「管楽器などの単音楽器」前提で見てくださいね。

2.楽譜
 市販のジャズスタンダード集などのコード進行が書いてある楽譜。
 例えば、Real Bookだとか、ジャズスタンダードバイブルシリーズだとか。

3.五線譜とキーボード
 さあ、ここからが本番です。



やってみることA~C

A.五線譜に ①その曲の調号 と ②その曲のコード進行 を記入しよう!



 まずはじめに、譜面は1行4小節ごと区切って、ト音記号を書いちゃいましょうか。
 ちなみにト音記号の書き出しは、ソの音(下から2番目の線)ですよ。

①その曲の調号
 調号とは、その曲全体の調を表したもので、楽譜の最初に#や♭をいくつか記載することで表されます。
 #や♭が付いている音程は、その曲を通して#または♭だと読み替えます。

 市販の楽譜には、調号が記載されているものとそうでないものがあります。
 調号が記載されている場合はそのまま書き写します。

 問題は記載されていない場合。
 その曲の調を判断するには専門的にはいくつかの段階があるようですが、殆どの場合そうであるようなので、ここでは曲の最後のコードがその曲の調であるとしちゃいましょう。

 バイバイブラックバードは、最後のコードが「G6」なので、曲の調はG(ト長調)で「(高い方の)ファ」のラインに#がつくことになりますね。


 何の調号の場合、どこに#や♭が幾つ付くか。
 この写真を参考にしてください。


マイナーキーの場合はこちら。




 はいこんな感じです、今までの説明で間違っていないかなぁ。
 素人理解なのですごく心配です。
 専門サイトで再確認した方がいいかもしれません。



②その曲のコード進行
 これは、市販のコードブックから書き写します。



B.キーボードを使って各コードの構成音を調べ、黒丸で記入しよう!


 左手で構成音を探って音を鳴らし、確認しながら楽譜に黒丸を記入していきます。

 「Gmaj7は、Gつまりソから始まるドミソ(1,3,5)でメジャーの7thをプラスするから、結局ソから始まるドミソシ(1,3,5,7)だな。」

 なんて独り言を言いながら探し当てて記入します。
 

 もちろん、曲の最初に付いている#や♭は尊重して記入します。




 主なコードの構成音は以下の通り(R=ルート音)。

 R                1 , 3 , 5
 R m             1 ,♭3 , 5
 R maj7         1 , 3 , 5 , 7
 R m7          1 , ♭3 , 5 , ♭7
 R 7             1 , 3 , 5 , ♭7
 R mM7         1 , ♭3 , 5 , 7
 R dim(o7)     1 , ♭3 , ♭5 , ♭♭7(6)
 R ♭5           5 が♭5
 R 6              7の代わりに6
 R sus4          3が#3(4)
 R aug           5が#5
 R oe            1 , ♭3 , ♭5 , ♭7





 最終的には、こんな感じになります。


 ここまで譜面を書くと、なんか音楽やってるなって気になってきますよね。





C.さあ、この譜面を見てアドリブしてみましょう!


 メロディーを徹底的に練習したうえで、メロディを崩してアドリブするか。
 コード進行に則ってメカニカルに演るか。


 いずれにしても、曲全体の調号(主キー)のスケールを使ってアドリブすることが第一段階でしょうか。




 そして第二段階は、作った楽譜の#や♭が付いている音に注目すること。

 つまり、曲全体の調号ではナチュラルなのに、その小節(そのコード下)では#や♭が付いている音。
 この音を意識的に使いながらアドリブをする!
 そうすると、曲全体を主キーのスケールだけでアドリブするよりはるかにかっこよくなります。


 実はこれ、他のジャズサイトに紹介されていた方法なんです。

 最近はこの楽譜を作ってから、市販の楽譜と合わせてアドリブしてみたりしてます。

2013/11/10

SONNY ROLLINS WITH THE MODERN JAZZ QUARTET, ART BLAKEY, KENNY DREW ソニー ロリンズ ウィズ ザ モダン ジャズ カルテット , アート ブレイキー , ケニー ドリュー / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

 新しいアルバムを手に入れたら、そこに収められているスタンダードの原曲をYouTubeで探しましょう。
 スタンダードの原曲というと1920年代から50年代の曲ということになりますが、大抵の曲はYouTubeにアップされています。古い映画の主題歌やミュージカルのテーマ曲などで、どれも魅力的な曲です。
 原曲を聴くと曲のイメージを捉えやすいので、演奏するときにも役立ちます。



SONNY ROLLINS WITH THE MODERN JAZZ QUARTET, ART BLAKEY, KENNY DREW
1.The Stopper     :1953.10.7
2.Almost Like Being In Love     :1953.10.7
3.No Moe     :1953.10.7
4.In A Sentimental Mood     :1953.10.7
5.Scoops     :1951.12.17
6.With A Song In My Heart     :1951.12.17
7.Newk's Fadeaway     :1951.12.17
8.Time On My Hands     :1951.12.17
9.This Love Of Mine     :1951.12.17
10.Shadrack     :1951.12.17
11.On A Slow Boat To China     :1951.12.17
12.Mambo Bounce     :1951.12.17
13.I Know     :1951.1.17
1-4 Sonny Rollins (ts) , Milt Jackson (vib) , John Lewis (p) , Percy Heath (b) , Kenny Clarke (ds)
5-12 Sonny Rollins (ts) , Kenny Drew (p) , Percy Heath (b) , Art Blakey (ds)
13 Sonny Rollins (ts) , Miles Davis (p) , Percy Heath (b) , Roy Haynes (ds)




1951年当時ロリンズ21歳、もはや熟練のプレイですね。
スタンダードとオリジナル(ロリンズ作?)を適度に混ぜて収められています。
曲数多くて一曲の時間が短いのは、録音技術上の制約か制作上の戦略か分かりませんがが、早くもハードバップ時代へ突っ込んでるという雰囲気です。














ソニーロリンズ83歳、元ジャンキーでこんなに長生き。
こんな爺さんになりたいな。











2013/10/30

WHIMS OF CHAMBERS ウィムス オブ チェンバース / Paul Chembers Sextet ポール チェンバース セクステット _ 数曲コピーしてみた

 前回投稿「未熟者のバラード」で取り組んだ

 『コルトレーンが未熟な時のフレーズをストックしよう計画』

 についての経過を報告しなければなりません。



 今のところ・・・・・どうも身に付きません・・・・・。


 フレーズはあくまで断片なので、それだけでアドリブが成り立つというわけではないし。
 ストックフレーズは「飾り」としてあるべきもので、基本路線がなきゃだめか。



 そこで、基本方針(「先人の未熟な時を師とする」ということね)は変えずに、別な方法を試してみることにしました。



 まず準備するのはこれ!

John Coltrane OmniBook

 テナーマンだから当然の For B♭版 ね。



 この中で、コルトレーンが未熟な時期のものを分析しよう、という魂胆です。

 残念ながら、55~56年のプレイが少ないなぁ。
 その中で、ポールチェンバースがリーダー名義のWHIMS OF CHAMBERSというアルバムに入ってる4曲を演ってみることにしました。

 とりあえずじっくり聞いてみましょう。

WHIMS OF CHAMBERS
1. Omicron     :1956/9/21
2. Whims Of Chambers     :1956/9/21
3. Nita     :1956/9/21
4. We Six     :1956/9/21
5. Dear Ann     :1956/9/21
6. Tale Of The Fingers     :1956/9/21
7. Just For The Love     :1956/9/21
Donald Byrd (tp) / John Coltrane (ts) / Horace Silver (p) / Kenny Burrell (g) / Paul Chambers (b) / Philly Joe Jones (ds)

 最初に聞いたときはパッとしない印象だったけど、何度も聞いてるうちに味が出てくるアルバムです。そしてさすがBlueNote、メンバーもしっかりと揃えておりますね。
 ジャケットデザインはどうでしょう?ポールの背が相当高いってことは分かるけど。
 それと、みなさんが言ってるようにポールチェンバースのアルコ弾き(ギコギコギコってやつね)だけはちょっと・・・・・。

 この中でコルトレーンオムニブックに載ってる 1・3・4・7 をコピーしてみました。
 どれも魅力的なテーマを持った曲ですね、3と7はコルトレーンの作曲です。


 果たしてコピーしてみて得たものは・・・・・



 その説明の前に、ひとつ理論っぽいことをお話ししなければなりません。




 ツーファイブ、Ⅱ-Ⅴ、もしくはⅡ-Ⅴ-Ⅰ について
 これは、ジャズのコード進行に頻繁に登場するパターンのことです。


 例えば、Am7-D7-Gmaj7
 2度(A)から5度(D)へ進んで1度(G)に解決するというコード進行。
 例えば、Gm7-C7-Fmaj7
 2度(G)から5度(C)へ進んで1度(F)に解決するというコード進行。
 一曲の中にいろんなパターンのⅡ-Ⅴ-Ⅰを見つけることができます。

 そして、このⅡ-Ⅴ-Ⅰは曲中に出てくる特定のコード(Ⅰ)の前に、その特定のコードに対する2度(Ⅱ)と5度(Ⅴ)を付け加えることができます。

 また、Ⅱ-Ⅴ-ⅠのⅡ-Ⅴの部分を省略して、全てⅠのコードとすることもできます。

 つまり、付け加えても省略しても曲の大きな流れは変わらないということ。

 もっと詳細な理論的裏付けがあるんでしょうけど、ここでは省略します。
 詳しいことを知りたい方は、右にあるリンク集を参照してみてください。




 で、発見したことは以下の通り。
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① Ⅱ-Ⅴ-ⅠはⅠ-Ⅰ-ⅠとしてⅠのスケールで吹いている
  (Am7-D7-Gmaj7であれば、Gmaj7-Gmaj7-Gmaj7として、つまり省略してGのスケールで吹いている)
② メジャーツーファイブであればメジャースケールを使い、マイナーツーファイブ(例えばAm7♭5-D7-Gm7)であればハーモニックマイナースケールを使っている
③ 省略されたⅠ-Ⅰ-Ⅰに対するアドリブフレーズは、多くの場合Ⅰのルート音で始まり、Ⅰのルート音に解決させている
  (Am7-D7-Gmaj7であれば、Gメジャースケールを使用したアドリブをG音で始まりG音で終わらせている)
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 もちろん、上のパターンを外れているフレーズもあります。
 特に、コルトレーン作曲の3と7は、始まりと終わりではなくあえてフレーズの真ん中にルート音を入れてるんじゃないかって思わせるパターンもあります。

 でも自分としては、上記は大発見でした。
 しばらくの間、このアプローチを他の曲に応用してみようと思います。



 そうだ、スケールについて説明してませんでした!
 簡単に言っちゃえばGメジャースケールはG音から始まるドレミファソラシド、GハーモニックマイナースケールはG音から始まるドレミ♭ファソラ♭シドってことで、説明終了っ!

2013/10/27

未熟者のバラード

 アドリブできるようになりたい!と思いはじめた後、関連サイトを手当たり次第検索しました。
 そして、さあ何からどう始めようかと思っていた矢先に面白いサイトに出会いました。


Trane's Works 55, 56

 このサイトは、「技術的に不完全ではあるが愛すべき魅力がある1955〜56のジョンコルトレーンのソロ」を詳細に解説したものです。
 また、ソロの分析以外にも読み物的なものもあって、情報満載です。
 スゴく賛同できるし、かなり充実した内容なので何度も繰り返し(今でも)見ています。
 そして、このサイトに出会ってアドリブすることについての一つのきっかけを得ました。

 それは_



 先達の未熟な頃を師とすべし。



 名言っぽいです、奇しくも五七五になりました。
 未熟な者が達人のアドリブをコピーしても、何が何だかわかりません。
 ヘタクソと言われていたころのコルトレーンを真似することで、開眼することがあるんじゃないかってことで。

 但し、このサイトでの表現は、「下降する4音の反復フレーズ」「2音目が上がりその後下降する4音のフレーズ」といった、音程ではなく「音と音との関係」を表現したものですので注意が必要です。

 早速、このサイトにある分析されたフレーズをイメージできるように、(テキトーに)譜面化してみました。ひとまず、これらのフレーズを感覚的に使う意識を持てるようになればいいなと思って演ってみてますが、果たして身に付くかどうか。


この写真は Blue Train(1957) のリハの時の写真でしょうか。
 そうであれば、コルトレーン31歳、リーモーガンはなんと19歳だったんですね!

2013/10/24

SOMETHING ELSE サムシング エルス ・ IN CHICAGO イン シカゴ / Canninball Adderley キャノンボール アダレイ

 数年ぶりに地元のマラソン大会10kmの部に出場します。
 ランニングの時のBGMはキャメオかスライかチャックブラウンって決めてたのに、最近はアートブレイキーとか聴いたりして。

 スポーツとジャズって ・・・・・ うーん ・・・・・ 合わない。


 さて今日はこのアルバム。

SOMETHING ELSE
1. Autumn Leaves     :1958/3/9
2. Love For Sale     :1958/3/9
3. Somethin' Else     :1958/3/9
4. One For Daddy-O     :1958/3/9
5. Dancing In The Dark     :1958/3/9
Miles Davis (tp ,except 5) / Cannonball Adderley (as) / Hank Jones (p) / Sam Jones (b) / Art Blakey (ds)


 どうしても後の曲が霞んじゃうんですよね、2曲目はまだしも3曲目以降なんか特に。
1曲目の奴め。
 この曲このアレンジのためにサムシングエルスというアルバムは数奇な運命に。
 枯葉よ、枯れ葉よ。
 マイルスがアーマッドジャマルからパクったアレンジだって言うじゃないか。
 エンディングが長過ぎないか!ピアノの音がその辺に置いてあるアップライトピアノに聴こえるぞ!

・・・・・

 いや、でも確かにカッコいいのですよ、この「枯葉」。
 これが突出しちゃうのはしょうがないか。
 マイルスが入っててマイルスの個性が浮かび上がらない方がおかしいってもんですよね。



 さあ、続いてこのアルバムはどうでしょう。

CANNONBALL ADDERLEY IN CHICAGO
1. Limehouse Blues     :1959/2/3
2. Stars Fell On Alabama     :1959/2/3
3. Wabash     :1959/2/3
4. Grand Central     :1959/2/3
5. You're A Weaver Of Dreams     :1959/2/3
6. The Sleeper     :1959/2/3
Cannonball Adderley (as,except 5) / John Coltrane (ts ,except 2) / Wynton Kelly (p) / Paul Chambers (b) / Jimmy Cobb (ds)


 いいですねー。
 キャノンボールとコルトレーンのフレーズとリズムの対比がスリリングです。
 アドリブに対するアプローチの違い(理論的にではなく感覚的に)がよくわかります。
 それぞれのソロもあるし、フロント2人のダブルネームでも良かったんじゃないでしょうか。
 コルトレーンはアトランティックとの契約が内定してたからダメか。



 ジュリアン"キャノンボール"アダレイ。
 バード直系の正統派ビバップアルトサキソフォニスト。
 ともすれば古いといわれてしまう当時のスタイルは、歌いに歌うアドリブに対する反作用なのでしょうか。
 それにしても、キャノンボールの音は立ってるなぁ。