2014/05/28

SAXOPHONE COLOSSUS サキソフォン コロッサス / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

SAXOPHONE COLOSSUS
1. St. Thomas     :1956.6.22
2. You Don't Know What Love Is     :1956.6.22
3. Strode Rode     :1956.6.22
4. Moritat (Mack The Knife)     :1956.6.22
5. Blue Seven     :1956.6.22
Sonny Rollins (ts) , Tommy Flanagan (p) , Doug Watkins (b) , Max Roach (drums)


 日頃、色々なジャズミュージシャンが演ってるスタンダードをYouTubeから漁ります。
 曲にもよりますが、20曲ぐらい集まる場合があります。

 そして、「サックスで演るスタンダード」のプレイリストを作るのですが、集めた曲たちを全てプレイリストに登録すると、連続再生したときに1時間半ぐらい同じ曲を聴くことになるので、こんどは逆に登録曲をどんどん削っていきます。

 完全に好みの問題なんでしょうが、ソニー ロリンズが演っているのはほぼ残るんですよね。
 どうしても削るに至りません。

 「サックスで演るスタンダード」からソニー ロリンズものを削ったら、サックスの神様に怒られるという心理が働くのか。いや、そうではなくてハードバップサックスの音やテクニックがぎっしり詰まっているプレイだからだと思うんです。


 このサキコロもそう。
 ハードバップがぎっしり詰まってます。
 
 フロントできらびやかなソロを展開するソニーロリンズと、安定感抜群で絶妙なバッキングのトミーフラナガントリオ。サックスの後のピアノソロが曲を落ち着かせること、真夏のかき氷的な存在感です。
 カリプソ調あり、スタンダードあり、ポップ調あり、ブルースありのバラエティ豊かな内容で、お勧めジャズアルバム筆頭にいつも推薦されています。そういう意味でとっつきやすいし純粋に楽しめるアルバムですが、サックス吹きは静かなところで耳を澄ましてソニーロリンズに没頭したいところです。

2014/05/14

TENOR CONCLAVE テナー コンクレイヴ / John Coltrane , Al Cohn , Zoot Sims , Hank Mobley ジョン コルトレーン , アル コーン , ズート シムズ , ハンク モブレイ

TENOR CONCLAVE
1. Tenor Conclave     :1956.9.7
2. Just You, Just Me     :1956.9.7
3. Bob's Boys     :1956.9.7
4. How Deep Is The Ocean     :1956.9.7
John Coltrane , Al Cohn , Zoot Sims , Hank Mobley (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Art Taylor (ds)



 1957年発売のプレスティッジお得意リーダーなしセッション。
 コルトレーン人気に便乗して1962年リイシューした時には、下のようなアルバムジャケットに変更されたようです。


 こんなものもあったのでご紹介。
 当時の人気順なのでしょうか。



 テナー吹きにとってはすごく参考になるアルバムです。
 4人の演奏が一回に聴けるわけですからね。

 その中でもやはりコルトレーンの個性が光ります。
 変な光だけど光ってます。
 1曲目が2回流れても、コルトレーンのソロまで同じ曲だって気が付かない時ありましたからね。



 聴いたり吹いたりしながら、それぞれのフレーズを参考にする_というのがこのアルバムの活用方法。





 こんなのもあったけど、んー どうでしょう。



2014/05/09

I'LL REMEMBER APRIL 四月の思い出 を演ってみた。

 なんと!1942年のコメディー映画<Ride 'em Cowboy(邦題 凸凹カウボーイ)>の挿入歌。
 これは意外なパターンですね。




 YouTubeで検索すると、たくさんのミュージシャンの演奏を聴くことができますが、これまで紹介してきたスタンダードの中でも取り分け管楽器の演奏が多いように感じます。
 哀愁を帯びたエキゾチックなメロディが人気なのでしょうか。そういえば、冒頭をラテン的なドラムで入るアレンジも多いですね。

 そして今回のお気に入りはこれ。フレディ― ハバード クインテットにディジー ガレスピーとウディ ショウがゲスト出演してるもの。ディジーはいまいちだけどフレディ―とウディは聴かせるし、若きケニー ギャレットが魅力的なソロを披露しています。

Freddie Hubbard 5tet - I'll Remember April [1985]
   





 はい、それではコード進行の流れを見てみましょうか。


 最初4小節はA△、転調して次4小節がA-。
 それぞれ7thが付いたり6thだったりしてますが、この微妙な動きを「クリシェ」と言うそうです。
 同じコードが長く続く場合に変化をつけるということなのでしょうかね。


 9・10小節目がA-のⅡ-Ⅴ、11~16小節はA△のⅢ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ-Ⅰという進行ですね。
 (Ⅳ-Ⅶ-)Ⅲ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ-Ⅰという進行は、ご存知のド定番ですね。

 その後、C△に転調してA△へ進み(ここの後半部分もⅦ-Ⅲ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ)、最初に戻るという流れ。


 A△とA-とC△が基本のコードとなりそうです。



 さあ、そこから先はアイデア勝負。

 今は、「こんな演りかたもある」という情報をできるだけたくさん収集して、それらを意識しながら1時間ぐらい延々と同じ曲を吹きまくるっていうことをしています。

 なかなか良い方法だと思いますがいかがでしょうか。

2014/05/01

TENOR MADNESS テナー マッドネス / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

TENOR MADNESS
1. Tenor Madness     :1956.3.24
2. When Your Lover Has Gone     :1956.3.24
3. Paul's Pal     :1956.3.24
4. My Reverie     :1956.3.24
5. The Most Beautiful Girl In The World     :1956.3.24
Sonny Rollins (ts) , John Coltrane (ts #1) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)



 <Royal Roost>あるいは<Rue Chaptal>として知られているタイトル曲で始まるこのアルバム、初っ端で歴史的な(大げさでしょうかね?)競演がなされています。

 そうです、そのタイトル曲でのソニー ロリンズとコルトレーンの競演(!)です。


 2人の共演は、分かっている限りではライブで2回(あるいは3回)と、このアルバムレコーディングでの1回だけのようです。
 同じ楽器だということもありますが、やはりお互いを意識していたからでしょうか、敢えて同じステージを避けていたように思います。
 キャリアの違いによるお互いを敬う気持ちも、逆に顔合わせを邪魔をしていたのかもしれません。


 この競演は偶然の産物であったということが伝えられていますが、よく実現したもんだと後世のファンはいつまでも嬉しさを継続させることでしょう。
 演奏自体は、ソニー ロリンズの余裕綽々なプレイに対し、コルトレーンは考えられるすべてのフレーズで挑んでいる、といった印象です。ソニー ロリンズのサックスには「上手さ」「流れ」がありますもんね。


 但し、コルトレーンにも負けないものがあって、それは他の人にはない「変な個性」。

 独自のスタイルを築くために日々努力していたということが伝えられています。
 そしてその個性が徐々に花開き、ある意味ソニー ロリンズを超える存在となって時代を突き進んでいきます。





 さて、当アルバムの他の収録曲はと言いますと_

 これがロリンズ節全開で、スタンダード3曲と自作1曲を悠々と歌い上げている最高の演奏となっています。逆に、タイトル曲が特異に聴こえてしまうほどの滑らかさ。タイトル曲が無い方がアルバムとしてはまとまったのではないか、という評価もあるようですが、それもうなずけるような素晴らしさです。


 バッキングは当時のマイルスクインテットのリズムセクション、悪いわけありません。
 アルバムジャケットもカッコいいです(欲を言えば、もう少し人物が右寄りで良いと思うんだけど・・・)。





2014/04/28

SATIN DOLL サテン ドール を演ってみた。

 1953年のデューク エリントン & ビリー ストレイホーンによる作品。
 題名は「サテン人形」ということなんですが、ビリーが作ったときと歌詞が付いた数年後では、タイトルに持たせた意味が違っているようです(様々な説があるようで、詳細は別サイトを参照ください)。

 ビリー ストレイホーンという人は、エリントン楽団を陰で支える特異な位置にあった人のようで、豊かな才能を買われてエリントンと協働して楽団の作編曲・音楽監督その他いろいろを担っていたということです。
 エリントンの影武者的な役割であったため、後年になって評価され歴史に名を残しています。

 一度じっくりとエリントン&ストレーホーンの作品群を聴いてみようと思います。








 さて、この曲を演ってみて思ったことは_


 シンプルな構成とメロディーなので、最初は物足りない印象でしたが、色々な人の演奏を聴いたり、演リ続けたりしているうちにどんどん良さに引き込まれていく、といった感想です。

 このことは、他のスタンダード曲にも言えることです。
 長い間、演り続けられてきている曲はジワッと魅力が染みだしてきます。


 AABA形式でオリジナルキーはC。
 一般的にはE♭(in B♭でD)で演奏されることが多いということでしょうか、<RealBook>ではそうなってます。


 そのAセクションは「リフ」で構成され、Ⅱ-Ⅴの繰り返しなので解決先の進行でいうと
 「D →E →A →A♭ →D →E-7 →E →D」
 Dが♯2個、Eは♯4個、Aは♯3個と、近い調での転調なのでスムーズなコード進行を感じとることができると思います。

 Bセクションは「スケールの上下」で構成され、最初4小節はG、次の4小節はA(+D)。
 Gから1音上がったAという進行なので、Bメロに倣って同じメロディーを1音上げて演るというパターンもカッコいいですね。



 シンプルなだけに色々なアドリブを楽しめるということだと思います。





 さて、それではお気に入りの演奏を3つほどどうぞ。

Duke Ellington & His Orchestra - Satin Doll


植松孝夫5 - Satin Doll


Clark Terry Quartet - Satin Doll (Live at Copenhagen)





2014/04/24

INFORMAL JAZZ インフォーマル ジャズ / ELMO HOPE SEXTET エルモ ホープ セクステット

INFORMAL JAZZ
1. Weejah     :1956.3.7
2. Polka Dots And Moonbeams     :1956.3.7
3. On It     :1956.3.7
4. Avalon     :1956.3.7
Donald Byrd (tp) , John Coltrane (ts) , Hank Mobley (ts) , Elmo Hope (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)


 プレスティッジ然とした、題名通りのリラックス感溢れるセッションを収めたアルバムです。
 アルバムジャケットもいかにもプレスティッジ仕様ですが、まあそれでも写真の配置と文字バランスがまずまずなので良しとしましょう。

 セッションリーダーのエルモ ホープはそんなに目立つプレイではないものの、渋い味を出しているように思います。独創的な奏法や作品によりバド パウエルと並ぶ評価を得ているピアニストのようですが、このアルバムではサポート役に回っているように聴こえます。確かにソロではクラッシックの匂いがしないでもないと思うのですがいかがでしょうか。



 そして、何と言っても聴きどころはハンク モブレーとコルトレーンの2テナー。

 ハンクの色々なフレーズを駆使した軽やかで滑るようなブロー。
 コルトレーンの無骨でキレを重視したプレイ。


 2人の音色やフレーズの違いを楽しむことができます。








 ところで_

 今回ご紹介したアルバムもそうですが、コルトレーン、マイルス、ソニー ロリンズなどそうそうたるジャズレジェンドたちがレコーディングしてきたレーベル「プレスティッジ レコード」が、今年65周年を迎えるとのこと。ブルーノート設立から10年も遅れてのスタートということで、意外に遅いスタートだったんだなと思いましたが、最重要レーベルの一つであることには変わりありません。
 わたし的には、むしろブルーノートより聴いていると思います。

 65周年を記念して、ユニバーサル ミュージック ジャパンから「マスターズコレクション」CD全65タイトル1枚1,000円で(Amazon輸入盤送料込みで同じぐらいの値段だったからこっちがいいかも)、「7000番台クロニクル」としてLP全200タイトル!が発売されています。


 いいぞいいぞ(安いに越したことはありませんからね)。





 そのUMJのホームページにて「プレスティッジ名曲・名演投票 上位20位」なるものが発表されていました。

NOLP番号アーティスト名アルバム名曲名
1位PRLP7079ソニー・ロリンズサキソフォン・コロッサスセント・トーマス
2位NJLP8225ケニー・ドーハム静かなるケニー蓮の花
3位PRLP7113レッド・ガーランドグルーヴィーCジャム・ブルース
4位PRLP7129マイルス・デイヴィスリラクシンイフ・アイ・ワー・ア・ベル
5位PRLP7057モダン・ジャズ・カルテットジャンゴジャンゴ
6位PRLP7105ジョン・コルトレーンコルトレーンコートにすみれを
6位NJLP8260エリック・ドルフィーアット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 1ファイアー・ワルツ
8位PRLP7005モダン・ジャズ・カルテットコンコルド朝日のようにさわやかに
8位PRLP7048ジャッキー・マクリーン4, 5&6センチメンタル・ジャーニー
10位PRLP7002スタン・ゲッツスタン・ゲッツ・カルテッツゼアズ・ア・スモール・ホテル
10位PRLP7098レイ・ブライアントレイ・ブライアント・トリオゴールデン・イヤリングス
12位PRLP7003ミルト・ジャクソンミルト・ジャクソン・カルテットムーンレイ
12位PRLP7094マイルス・デイヴィスクッキンマイ・ファニー・ヴァレンタイン
14位PRLP7142ジョン・コルトレーンソウルトレーンロシアの子守唄
15位PRLP7166マイルス・デイヴィスワーキンイット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド
16位PRLP7004リー・コニッツサブコンシャス・リーサブコンシャス・リー
16位PR7511ソニー・クリスジス・イズ・クリス!酒とバラの日々
18位PRLP7027セロニアス・モンクセロニアス・モンク・トリオブルー・モンク
19位PRLP7029ソニー・ロリンズソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・カルテットオン・ア・スロウ・ボート・トゥ・チャイナ
20位NJLP8207ジョージ・ウォーリントンザ・ニューヨーク・シーンイン・サラ―

 聴いたことあるやつが20曲中7曲と、ジャズマスターになるにはまだまだ遠い道のりだなっていう感じです。そして、セント トーマスが1位?というのも率直な感想。

 同ホームページには、「プレスティッジ・ストーリー」も連載されていますので興味のある方はどうぞご覧ください。






 初期のマークはとぼけた感じで味がありますよね。





2014/04/23

A NIGHT IN TUNISIA ナイト イン チュニジア / Art Blaker & The Jazz Messengers アート ブレイキー & ザ ジャズ メッセンジャーズ

A NIGHT IN TUNISIA
1. A Night In Tunisia     :1960.8.14
2. Sincerely Diana     :1960.8.7
3. So Tired     :1960.8.14
4. Yama     :1960.8.7
5. Kozo's Waltz     :1960.8.14
Lee Morgan (tp) , Wayne Shorter (ts) , Bobby Timmons (p) , Jymie Merritt (b) , Art Blakey (ds)



 一時期は、クリフォード ブラウン、ルー ドナルドソン、ジャッキー マクリーンなども在籍していたというモンスターコンボ、ジャズメッセンジャーズ。
 オリジナルメンバーは、ケニー ドーハム(tp)、ハンク モブレー(ts)、ホレス シルヴァー(p)、ダグ ワトキンス(b)、アート ブレイキー(ds)という、聞いてびっくりな面々。結成当初は、ホレスシルバーがリーダーだったみたいですね。
 1960年代以降も続々と後のメジャープレイヤー達が在籍しており(フレディー ハバード、キース ジャレット、チック コリア、ウィントン マルサリス、ブランフォード マルサリス等!!!)、人気・実力・若手を引き付ける力、全てにおいてマイルスコンボと肩を並べるバンドだったのでしょう。



 さて、このアルバム。

 超有名曲であり重要なレパートリーだったタイトル曲プラス、ウェイン作1曲、ボビーティモンズ作1曲、リーモーガン作2曲という構成。

 エキゾチックでアフリカンなタイトル曲のアレンジはウェインとのこと。
 夜の密林を疾走するシーンが頭に浮かぶドラムメインのアレンジが印象的です。
 続くウェインの曲、カッコいい! 新しいものを感じます。
 そして、リー モーガン作のバラードもイイですねー。

 やはり当時の大人気バンドだけあって、アルバム全体の勢いを感じます。
 


 ウェインは1964年までジャズメッセンジャーズに在籍していますが、その間残したアルバムは20枚以上。平行してウェイン自身名義のアルバムや、後に入団するマイルスコンボを含むゲスト録音、その他ライブ活動など超多忙な日々を送っていたのではないでしょうか。


 ウェインって人は、モノ凄い音楽的才能を持っている人なんだと思います。



2014/04/17

HOW HIGH THE MOON ハウ ハイ ザ ムーン を演ってみた。

 1940年のブロードウェイミュージカル<TWO FOR THE SHOW>からの一品。
 ミュージカルオープン後、ベニー グッドマンがヘレン フォレストのボーカルをフューチャーしてレコーディングし、ポップチャート6位を記録したようです。

 

 ミュージカル興行や人気ビッグバンドライブ、レコード販売や楽譜販売など、複合宣伝戦略で盛り上がった音楽産業から生まれたいわゆるスタンダード曲ですが、曲自体が良くなければ今日まで受け継がれて来てませんでしょう。曲の魅力によりその後、数々の偉大なミュージシャンたちに演奏され続けています。





 さてと。
 そんな人気曲ですが、いざ演ってみると難しいんです、これが。


 何度も転調して、しかも近親調への転調じゃないので、流れを作るのが難しいと思うんですよ。


 A△7からG△7、そしてF△7へ。
 A-7からのA△7、C♯・Cと来てA△7へ戻る・・・・・。

 A△7は♯3つ、G△7は♯1つ、F△7は♭1つ。
 近親調への転調ではないのですが、それぞれをⅡ-Ⅴでつなげていることで、A△7→A-7、G△7→G-7と、メジャーからマイナーへの移動により転調を和らげているということですか、なるほどなるほど。

 ということは、三度七度の音でつなげていくと、比較的スムーズに聴こえるということですかね。





 コード進行を見ながらレジェンドたちの演奏を聴くとアドリブ構成の手掛かりが掴めるかなと思って、そうしたりもしてますが、これがなかなか。



 Art Pepper Quartet 1952 ~ How High The Moon

Sonny Rollins And The Contemporary Leaders 1958 ~ How High The Moon

2014/04/11

CHAMBERS MUSIC チェンバース ミュージック / Paul Chambers ポール チェンバース 、 HIGH STEP ハイ ステップ / Paul Chambers ポール チェンバース John Coltrane ジョン コルトレーン

CHAMBERS MUSIC
1. Dexterity     :1956.3.1or2
2. Stablemates     :1956.3.1or2
3. Easy To Love     :1956.3.1or2
4. Visitation     :1956.3.1or2
5. John Paul Jones     :1956.3.1or2
6. Eastbound     :1956.3.1or2
John Coltrane (ts) , Kenny Drew (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)

 当時のマイルスクインテットの中で、いち早くリーダーアルバムを録音した男。ベーシストとしての人気と力量がそうさせたのでしょうか。本人名義のリーダーアルバムはそう多くはありませんが(いやベーシストとしては多いか?)、参加したアルバムは数知れず。当時の第一級ベーシストであったことは疑いようがありません。

 このアルバムは、そんな人気者ポールチェンバースのファーストリーダー作。
 コルトレーン参加のワンホーンカルテットと、曲によってはベースを全面に出したピアノトリオでシンプルかつ荒々しい演奏を聴かせます。


 大好きなんですよね、このアルバム。

 やはり、テクニックがしっかりしていないと小編成での演奏は間が持たないのではないでしょうか。
 とはいえ、コルトレーンは技術的にもアイデアも未熟な時期というのが一般的な評価です。
 
 でも、味があるんですよね。
 こういうリラックスした演奏の小編成に心惹かれます、例えば以前ご紹介したこれなんか。
 いいですよね、この雰囲気。
 こんなライブができるようになる事が目標です。





HIGH STEP
1. High Step     :1956.4.20
2. Trane's Strain     :1956.4.20
3. Nixon, Dixon And Yates Blues     :1956.4.20
Curtis Fuller (tb) , John Coltrane (ts) , Pepper Adams (bs) , Roland Alexander (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)

 こちらは、前出アルバムのひと月半後の録音3曲。
 ブルーノートのリイシューもの(2枚組?)の中におさめられていた発売当時未発表曲ということでしょうか。コルトレーンの名前も前面に出して既出の2枚プラス3曲が収められています。
 上記3曲にあと数曲加えてアルバムとして世に出したかったのでしょうが実現されず、しばらくの間お蔵入りしていました。


 コルトレーンは初見だったからなのか、なかなかの際どいプレイ。
 初期コルトレーンの中で一番壊れかけているアドリブ。



 と思って何度も聴いていると、これはこれで個性的で他にはない味わいでもあるかな、なんて思っちゃったりして。

 珍味的な。

2014/04/07

SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE 朝日のようにさわやかに を演ってみた。


 1928年に公開されたミュージカル「ニュームーン」からのナンバー。
 同じミュージカルから< LOVER,COME BACK TO ME 恋人よ我に帰れ >もスタンダードになっています。
 絵から想像するに、海賊物で復讐劇かと思いますがいかがでしょうか。






 AABA形式でキーはD-。
 AセクションがマイナーでBセクションがメジャーのトーナリティーです。
 平行調の移調なので劇的な変化は感じません。もちろんマイナーからメジャーになることは感じますが。

 特徴的なのは、Bセクションの G-7 → G♯o7 → A7♭9 と半音ずつ進む部分。

 このまま半音上がりでアドリブするもよし、ディミニッシュコードとドミナント7thとの関係(ドミナント7th=三度半上のディミニッシュ、つまりE7♭9=G♯o7 「詳しいことは理論書をご覧ください」)によるコードの置き換えをするもよし、幅広く考えられます。

 ディミニッシュの置き換えについて、Bセクション3小節目のD7♭9をF♯o7 とすることで、F△7 → F♯o7 → G-7 → G♯o7 → A7♭9 と半音進行にもできますよね。


 また、Bセクション3小節目のD7♭9は、F(Aの代理)-D-Gのツーファイブと考えてのドミナント7thというのはどうでしょうか。
 ついでに、F△7の部分はAの代理コードということでA-7としてみることはできませんかね。


 理論書の受け売りやあいまいな解釈もありますが、いずれにしてもBセクションの最初の7小節が面白いトコロだと思います。




 さあ、あとはこの方たちのプレイを聴いてイメージを膨らませましょうか。

DEXTER GORDON - Softly As in The Morning Sunrise

Wynton Kelly Trio 1959 ~ Softly As In A Morning Sunrise