2015/07/05

SONNY'S CRIB ソニーズ クライブ / Sonny Clark ソニー クラーク 、ALL MORNIN' LONG オール モーニン ロング / The Red Garland Quintet ザ レッド ガーランド クインテット

SONNY'S CRIB
1. With A Song In My Heart     :1957.9.1
2. Speak Low     :1957.9.1
3. Come Rain Or Come Shine     :1957.9.1
4. Sonny's Crib     :1957.9.1
5. News For Lulu     :1957.9.1
Donald Byrd (tp) , Curtis Fuller (tb) , John Coltrane (ts) , Sonny Clark (p) , Paul Chambers (b) , Art Taylor (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ



 今回は、コルトレーンゲストの2作です。


 まずはドナルドバードのトランペットで幕を開けるソニークラークのリーダー作。

 2部構成で前半はスタンダード、後半はオリジナル2曲。
 1曲目は、1929年リチャード ロジャーズ&ローレンツ ハートの作品「わが心に歌えば」。アップテンポアレンジのスタンダードってカッコイイですよね。そして、クルト ワイル作「そっと話して」、ハロルド アーレン作「降っても晴れても」。
 どの曲も本当に綺麗なメロディーです。これぞスタンダード的な曲達で、コルトレーンも切れ味のいいアドリブを聴かせます。
 後半2曲はゴリゴリのオリジナルハードバップ。ちょっとジャパニーズ懐メロっぽいテーマにも聞こえます。コルトレーンもゴリゴリです。

 ところで_

 コルトレーンのアドリブは、この頃はもうはっきりとした方向性と自信を持った明確な音で突っ走っています。
 コルトレーンのテナーは、アルトの音域を多用することによる緊迫感がひとつの魅力です。2オクターブ半の音域のほとんど上1オクターブ半で勝負しています。このスタイルは面白く、下1オクターブをアクセントに使用するという、テナーのアルト化。












ALL MORNIN' LONG
1. All Mornin Long     :1957.11.15
2. They Can't Take The Away From Me     :1957.11.15
3. Our Delight     :1957.11.15
Donald Byrd (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , George Joyner (b) , Art Taylor (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 お次のコルトレーン参加作品は、レッドガーランド親分のリーダー作「明け方までずっと」。
 この1957年11月15日には、アルバムの曲を含めて10曲を同日に録音しています。
 多分、明け方までセッションが続いたんでしょうね。

 さて、まずはブルースでスタート。コルトレーンがトップバッターで吹きまくります。引き続きドナルドバード、そこからガーランドのピアノソロが結構な長さで引っ張り、ベースソロも合わせて結局20分の超ロングタイムプレイです。

 そして、ガーシュイン作のスタンダード「誰も奪えぬこの想い」。続くはタッドダメロン作「面白いこと」。
 2曲ともコルトレーンがトップバッターです。持ってるフレーズをつなぎ合わせながら力を抜いたアドリブで楽しんでいます。

 レッドガーランド版マラソンセッションと言われた3枚分10曲の中の3曲ですが、先に紹介したアルバムとは雰囲気が違い、プレスティッジらしいリラックスしたレコーディングだったのではないでしょうか。





2015/05/30

SONNY ROLLINS VOL. 2 ソニー ロリンズ ボリューム ツー / Sonny Rollins ソニー ロリンズ


SONNY ROLLINS VOL. 2
1. Why Don't I     :1957.4.14
2. Wail March     :1957.4.14
3. Misterioso     :1957.4.14
4. Reflections     :1957.4.14
5. You Stepped Out Of A Dream     :1957.4.14
6. Poor Butterfly     :1957.4.14
J.J. Johnson (tb 1-3,5,6) , Sonny Rollins (ts) , Horace Silver (p 1-3,5,6) , Thelonious Monk (p 3,4) , Paul Chambers (b) , Art Blakey (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ



 ジャケットかっこいいですね、さすがブルーノート。
 写真・色味・文字・バランス、全てがハマってます。



 さて、中身の方は_

 まず第一幕。
 ソニーロリンズお得意の変形リピートテーマでオープニング。今回改めて発見したのは、フロント2管からピアノへと進むインプロヴィゼーションの後ろを支えるアートブレーキーのドラムの多彩さ。程よい煌びやかさで、ついドラミングに聴き入ってしまうほどです。
 そして、2曲目のテーマは「マーチ」。この曲もアートブレイキーが目立ってるけど、こっちはちょっと喧しい印象。ジャズメッセンジャーズのアルバムに入っていてもおかしくないと思うような、そんなアレンジになってます。
 ということで、第一幕はソニーロリンズのテクとアートブレイキーのバッキングが印象に残る舞台でした。


 続きまして、第二幕のモンクとのカップリング曲2曲。
 ゆったりとしたブルースでの幕開け。隙間だらけのモンクに音を散りばめるロリンズ。そして、パーソネルを見てビックリのツインピアノ? っていうか、出だしから1回目のピアノソロまではモンクで、それ以降はホレスシルバーという珍しいバトンタッチ方式です。確実にそうしようという打ち合わせがあっての流れでしょうから、とても珍しいことだと思います。なんでだろう?
 そしてこの幕2曲目。
 最高に良いですね。モンクの惚けたピアノとテクニック抜群のソニーロリンズのサックスが絶妙なバランスでチョー心地イイ。1952年のモンクトリオの演奏と比べるとややテンポを落としたしっとりバージョンになってます。綺麗なメロディだなぁと思ってたら、やはりリアルブックにも掲載されてました。いつか演ってみたい。


 最終幕はスタンダードコーナーです。
 「夢出人」は、1940年代のミュージカル「ジーグフェルドのショーガール」挿入歌。

「悲しき蝶々」は、かの有名なプッチーニのオペラ「蝶々夫人」挿入歌。
 

いやもう、いにしえのブロードウェイ。
 スタンダードを聴くたびに、想像力を掻き立てられます。その上で、メロディーの美しさに酔いましょう。


 ということで、色々と調べながら聴き進めると、1枚のアルバムからその周りにある沢山の事柄に触れることができます。更に掘り進めると、驚くような発見に出会えるかもしれません。
 音を聴いて没頭するも良し、曲周辺を散歩するも良し。
 手がかりを探しながら、どんどん深みにはまるのもまた良し、ということで。





2015/04/27

THE LAST TRANE ザ ラスト トレーン / John Coltrane ジョン コルトレーン

THE LAST TRANE
1. Lover     :1958.1.10
2. Slowtrane (Trane's Slow Blues)     :1957.8.16
3. By The Numbers     :1958.3.26
4. Come Rain Or Come Shine     :1958.1.10
1,4. Donald Byrd (tp) , John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Louis Hayes (ds)
2. John Coltrane (ts) , Earl May (b) , Art Taylor (ds)
3. John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Art Taylor (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, March 26, 1958



 1965年にリリースされたアルバムだけど、ご覧の通り録音は1957-58。
 たくさんのリリース曲があるミュージシャンは、年代ごとに順を追って聴き進めたいので、こういうアルバムの位置には結構な戸惑いが出ます。
 マイルスとかコルトレーンのアルバムは、ある程度録音順の並びを把握しているので、いつかリリース順に並べてみたいと思っています。
 きっと、時間軸が崩れる感覚を味わえますよね。


 さて、コルトレーンの1965年は、インパルス時代後半に掛かろうかというところ。
 というか人生的にも後半にほど近い時期です。
 至上の愛も出し終えて、もう「あの領域」にいる頃です。
 
 そこでこの録音を発売するのは、プレスティッジの営業戦略。しかも、不当表示スレスレじゃないかの、ジャケットにソプラノサックスを吹く姿。
 レコード会社の音源有効活用のしたたかさを垣間見るアルバムです。



 内容はと言いますと_

 ロレンツ・ハート&リチャード・ロジャースのスタンダード超高速版「恋人」から始まり、ブルース2曲を挟んで、「降っても晴れても」で締める。
 「恋人」なんかアップテンポのアレンジなのに、ドナルドバード以上の圧巻ダブルタイムオンリーソロで突っ走り、ピアノレストリオでゆるゆると演るのは< LUSH LIFE >Trane's Slow Bluesの別バージョン。
 3曲目の「規則的に」は、コロンビアの< '58 SESSIONS >Stella By Starlightとのメンバー違い同日録音。コルトレーンのソロが素晴らしく12分超えの曲だけど全く飽きさせない内容です。
 4曲目「降っても晴れても」の最大の聴きどころは、テーマ直後のコルトレーンソロの入り。続くソロの組み立て具合。レッドガーランドのプレイ。ドナルドバードが奏でるメロディ。つまり曲全編ということです、はい。



 結局、未発表曲の寄せ集めなんだけど、聴きどころ満載の素晴らしい内容だということが、改めて分かりました。





2015/04/07

GETTIN' WITH IT ゲッティン ウィズ イット・TAKE A NUMBER FROM 1 TO 10 テイク ア ナンバー フロム ワン トゥ テン / Benny Golson ベニー ゴルソン

GETTIN' WITH IT
1. Baubles, Bangles And Beads     :1959.12.23
2. April In Paris     :1959.12.23
3. Blue Streak     :1959.12.23
4. Tippin' On Through     :1959.12.23
5. Bob Hurd's Blues     :1959.12.23
Curtis Fuller (tb) , Benny Golson (ts) , Tommy Flanagan (p) , Doug Watkins (b) , Art Taylor (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ

 入りがいいですね。
 トミー フラナガンの美しいピアノ旋律から始まる1曲目は1953年のミュージカルソング。しっとりとしたピアノソロとミディアムアップの軽快なソロプレイとの対比が楽しめます。
 そして、2曲目もミュージカルソングですが、これは1930年代のもの。今度はベニーゴルソンがソロでしっとりと聴かせます。
 続く3曲はオリジナル。そのうち2曲はブルースですが、どの曲のテーマ部もしっかりとアレンジを効かせ、ベニーゴルソンらしい仕上がりの曲になっています。
 前2作に引き続いて、トロンボーンとのフロント2管構成であり、時に攻撃的に、時にまろやかにモダンジャズを楽しむことができるアルバムに仕上がっています。







 もう一枚行きましょう。

TAKE A NUMBER FROM 1 TO 10
1. You're My Thrill     :1960.12.13
 Benny Golson (ts)
2. My Heart Belongs To Daddy     :1960.12.14
 add Tommy Williams (b)
3. The Best Thing For You Is Me     :1960.12.14
 add Albert Heath (ds)
4. Impromptune     :1960.12.14
 add Cedar Walton (p)
5. Little Karin     :1960.12.14
 add Freddie Hubbard (tp)
6. Swing It     :1960.12.14
 add Curtis Fuller (tb)
7. I Fall In Love Too Easily     :1960.12.14
 add Sahib Shihab (bs)
8. Out Of This World     :1961.4.11
 Nick Travis (tp) , Bill Elton (tb) , Willie Ruff (fh) , Hal McKusick (as) , Benny Golson (ts) , Sol Schlinger (bs) , Tommy Williams (b) , Albert Heath (ds)
9. The Touch     :1961.4.11
 add Bernie Glow (tp)
10. Time     :1961.4.11
 add Art Farmer (tp)
Nola Penthouse Sound Studio, NYC

 聴き進めてびっくり、パーソネルを見てびっくり、これは企画物と言っていいのでしょうかの面白アルバムです。
 つまり、メンバーが一人ずつ(8曲目を境にメンバー変更がありますが)増えていって、最終的にはテンテットになるのです。まあ、最後4曲ぐらいはあまり変わらないような気もしますが、前半から中頃にかけては楽しい展開です。
 スタンダード5曲・オリジナル5曲という構成も、最終人数が10人という編成も、きっちりと数字にこだわった感があって、実験的なアルバムになっています。





 これで、ベニーゴルソンは一先ず終了。
 合計8枚聴き込みました。
 個性的なソロプレイと、セッションレコーディングではない練られた構成が特徴的な、今なお現役の生きた伝説。
 ハードバップのベニーゴルソン的発展形に今なお取り組んでいるじいちゃん。
 幾つになってもジャズマンであり続けるのでしょうね。







2015/03/22

WAY OUT WEST ウェイ アウト ウェスト / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

WAY OUT WEST
1. I'm An Old Cowhand     :1957.3.7
2. Solitude     :1957.3.7
3. Come, Gone     :1957.3.7
4. Wagon Wheels     :1957.3.7
5. There Is No Greater Love     :1957.3.7
6. Way Out West     :1957.3.7
Sonny Rollins (ts) , Ray Brown (b) , Shelly Manne (drums)
Los Angeles, CA

 ジャケットの雰囲気でそう思ってしまったのか、ロードムービーのサントラ盤のようなイメージ。この雰囲気って「パリ、テキサス」ですよね。実際に聴いてみても、乾いて砂埃が舞う街を旅する映像にピッタリと思われるピアノレストリオの演奏です。
 西部劇映画のテーマ2曲とエリントンナンバー1曲、歌ものスタンダード1曲とオリジナル2曲という編成で、バラエティ豊かな選曲になっています。

 そして、レイブラウンもシェリーマンもいい味出したバッキングで、ソニーロリンズのテクニックを前面に押し出す素晴らしいプレイを聴かせてくれます。
 途中で入るベースソロやドラムソロもいいアクセントで、少ない楽器でこれほど楽しませてくれるのは、ソニーロリンズの派手なテクニックだけではなく、レイブラウンやシェリーマンのテクニックも同じように楽しむことができるからだと思います。

 



 ところで、この写真。


 1956年の「ウェイ アウト ウェスト」レコーディングセッションと紹介されていますが、下のコメントでは、「『ウェイ アウト ウェスト』はロリンズとレイブラウンとシェリーマンだけのセッションだから、そうではなくてこの写真は1958年のセッション写真だよ。」というようなことが書かれています。
 どっちにしてもすごく貴重な写真で、当時のレコーディング風景ってこんな感じだったんだっていうことがわかります。
 少しでも雰囲気を味わいたいことと、細部を観察したいこともあって、どデカ写真で載せました。

 



2015/03/14

バッド ノット フォー ミー を演ってみた。


 1930年のブロードウェイミュージカル < GIRL CRAZY > 挿入歌で、ジョージ ガーシュインの作品。
 コルトレーン・アーマッドジャマル・マイルス、そして本田竹広+mamaTのものを良く聴きます。元々はラブバラードですが、アップテンポで演る人が多いのではないでしょうか。どの作品も個性的で素晴らしいグルーヴです。
 1930年代から2000年代まで歌い継がれているモンスタースタンダードの中の一曲ですね。
 シンプルですが、味わい深いメロディーです。

 まずは1943年の映画版< GIRL CRAZY >
 ジュディー ガーランドの歌声をどうぞ


 オリジナルキーはE♭△、in B♭でF △。
 ABAB'系形式。


 Aセクションの G-7 - C7 - F△7
 Bセクション入り口の C-7 - F7 - B♭△7
 このツーファイヴは基本通りのやつですよね。

 B'セクションの出口に B♭-7 - E♭7 - F△7 - D-7 - G-7 - C7 - F△7という進行があります。
 これは、Ⅳ - Ⅶ - Ⅲ - Ⅵ - Ⅱ - Ⅴ - Ⅰの変形ですかね、微妙にセヴンスが違っていますが。

 Bセクションの出口には、D-7 - G7 - G-7 - C7 というツーファイヴが変形したようなものがありますが、ツーファイヴと見ていいのでしょうか。

 まだまだ、疑問だらけのコード進行分析です。結局、主キーと部分転調とツーファイヴぐらいしか分かっていないからなんでしょうね、もう一歩進みたいです。

 スタンダードはいい題材ですから、このパターンでもっと理解を深めたていきたいと思います。





2015/02/11

CATTIN' WITH キャッティン ウィズ / John Coltrane And Paul Quinichette ジョン コルトレーン アンド ポール クイニシェット

CATTIN' WITH
1. Cattin'     :1957.3.17
2. Sunday     :1957.3.17
3. Exactly Like You     :1957.3.17
4. Anatomy     :1957.3.17
5. Vodka     :1957.3.17
John Coltrane, Paul Quinichette (ts) , Mal Waldron (p) , Julian Euell (b) , Ed Thigpen (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 10歳年上の先輩ポール・クイニシェットのリーダー作にゲスト演奏したのか、はたまたタイトル通りこれはコルトレーンのリーダー作とみなしたほうがいいのか。
 当時の知名度やリズムセクションの人選から言ってやはり前者なのかなと思いますが、存在感ではコルトレーンが際立っているように思いますが贔屓目でしょうか。

 レスター世代の先輩に今の自分のプレイスタイルを遠慮なくぶつけたといった爽快感があって、同じテナーなのに全く別なスタイルを楽しむことができます。

 この頃になるとコルトレーンは、プレスティッジやブルーノートで重ねできたセッションの成果により独自のスタイルをスムーズに出していて、これまでのビバップ的なフレーズとは違ったメロディーの組み立て方が唯一無二の個性として定着しているように感じます。

 コルトレーンのフレーズはなかなか真似しようと思ってもできないと思います。なにかアプローチが違うのでしょう。
 渋い選曲のスタンダードナンバー< Sunday >の後半で聴かせるフレーズは圧巻です。



 さあそして、このレコーディングの半月後にあの自身の名前を冠した名作がレコーディングされるのです。



GROOVIN' WITH GOLSON グルーヴィン ウィズ ゴルソン / Benny Golson ベニー ゴルソン

GROOVIN' WITH GOLSON
1. My Blues House     :1959.8.28
2. Drum Boogie     :1959.8.28
3. I Didn't Know What Time It Was     :1959.8.28
4. The Stroller     :1959.8.28
5. Yesterdays     :1959.8.28
Curtis Fuller (tb) , Benny Golson (ts) , Ray Bryant (p) , Paul Chambers (b) , Art Blakey (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ

 ベニーゴルソン6作目は前回同様ニュージャズからのリリース。ジャケットは相変わらずやっつけ感ありありと思っちゃいますが、プレスティッジ系特有の独特な外し方はある意味個性的で真似できないなと。「GROOVIN'」と「WITH」と「GOLSON」の配置は頭に乗っかってるイメージ、あるいは人物と上下対象に配置するという何かの手法なのかな。



さて_

 ジャズメッセンジャーズでゴルソンとウェインショーターが交代する直前の録音で、ゴルソン名義のアルバムでは唯一アートブレイキーが参加しています。


 で、今回はオリジナル2曲がブルース、他の3曲はスタンダード。

 スタンダードは、1941年ジーンクルーパ楽団「ドラムブギー」、ロジャース&ハートの1939年ミュージカルソング「あれは何時だったのかしら」、ジェロームカーン1933年作「イエスタデイズ」。

 特に歌ものの2曲はYoutube検索で色々な人の演奏を聴きましたが、当然ながらどれも素晴しい。レスターヤング、チャーリーパーカー、エラフィッツジェラルド、サラボーンなどなど。

 スタンダードソングのバックグラウンドを調べながらアルバムを聴く、そうすると聴いているアルバムの枠を超えてどんどん世界が広がっていく、そしてまたアルバムに戻り演奏に入り込む。

 こんな聴き方もいいんじゃないでしょうか。

2015/02/08

IN A SENTIMENTAL MOOD イン ア センチメンタル ムード を演ってみた。

 デュークエリントン楽団1935年の録音。3ヶ月後にはポップチャート14位にランクインという、当時のエリントン楽団の人気ぶりがうかがえる作品です。


1935年のエリントン楽団


 エリントン楽団といえばコットンクラブ。
 店内を見渡してみると_


 キャブキャロウェイショーが終わり、店内に明かりが戻って数分。
 1920年代後半にこのクラブのレギュラーバンドだったエリントン楽団が、久しぶりに戻ってきてお客を煽る。
 3曲目はインアセンチメンタルムード。
 背中を大きく開けた女性は男の背中越しに目をつぶってダンスに身を任せる。
 グラスを運ぶ音と紫煙と喧騒がクラブを包み込む。
 開けられたドアの逆光に浮かぶ山高帽の男。
 男は、ホールのチャーリーチャプリンと軽く挨拶を交わし、そのまま舞台袖奥に消えた。


 スタッフ・出演者はすべて黒人、お客はすべて白人。
 当時の人種差別は想像を絶するものだったと思われます。
 それでも、エリントンの知名度が上がるに連れて、黒人客締め出しの厳しい規制が多少は緩んだと言われています。



 さて_

雰囲気たっぷりのこの曲のフォーマットは、スタンダードの基本A-A-B-A。
 キーはin B♭でGメジャー。
 AセクションはGメジャーの平行調Eマイナーで始まり、Aマイナー経由でGメジャーに着地。BセクションはB♭メジャーに転調。
 AからBへの移行はシャープ1個からフラット2個への転調なので、調性の違いを感じながら演るということでしょうか。


 ソニーロリンズ、エリントン&コルトレーン、デックス、ビルエバンス。
 こういう曲を演り切ることができるようになりたいなと。



2014/12/14

MAL/2 マル2 / Mal Waldron マル ウォルドロン

MAL/2
1. Potpourri     :1957.4.19
2. J.M.'s Dream Doll     :1957.4.19
3. Don't Explain     :1957.4.19
4. Blue Calypso     :1957.4.19
5. Falling In Love With Love     :1957.4.19
6. The Way You Look Tonight     :1957.5.17
7. From This Moment On     :1957.5.17
8. One By One     :1957.5.17
1-5 Bill Hardman (tp) , Jackie McLean (as) , John Coltrane (ts) , Mal Waldron (p) , Julian Euell (b) , Art Taylor (ds)
6-8 Idrees Sulieman (tp) , John Coltrane (ts) , Sahib Shihab (bs,as) , Mal Waldron (p) , Julian Euell (b) , Ed Thigpen (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ



 1-5でのジャッキーマクリーンとコルトレーンの共演はこのアルバム以外ではないという、そういう意味では貴重盤。しっかり写真も残っていました。



 コルトレーンもいいけどジャッキーの音にも痺れた。

 「恋に恋して」。

 アルトサックスならではの上ずった音。
 アルトの魅力に伸されました。
 バトンタッチしたコルトレーンもジャッキーのノリに引っ張られるように魅力的なフレーズを作り出していきます。


 それでは、少し寄り道して動く若かりし頃のジャッキーをどうぞ。



 さあそして「今宵の君は」。
 アルトのサヒブさんは、今回のすぐ後にレコーディングされた<Coltrane>でバリサク吹いてた人ですよね。この曲では素晴らしく歌うアルトを披露しています。アイドリーズさんのトランペットの後に登場するコルトレーンは、独特のフレーズでダブルテンポを交えながらの素晴らしいアドリブで対抗しています。

 「恋に恋して」も「今宵の君は」も好みの歌ものスタンダードナンバー。この辺りの180PBMぐらいのミドルテンポで、A-A-B-A形式で、Ⅱ−Ⅴ多用のポップなやつを気持ちよく吹き続けられるようになりたい。



 全体的には重い印象のアルバムですが、丁寧な3管アレンジとそれぞれのアドリブが聴きどころ。
 ちなみに2,3,8は重くて暗くて耐えられなくて、いつもスキップしておりますが。