2014/12/14

MAL/2 マル2 / Mal Waldron マル ウォルドロン

MAL/2
1. Potpourri     :1957.4.19
2. J.M.'s Dream Doll     :1957.4.19
3. Don't Explain     :1957.4.19
4. Blue Calypso     :1957.4.19
5. Falling In Love With Love     :1957.4.19
6. The Way You Look Tonight     :1957.5.17
7. From This Moment On     :1957.5.17
8. One By One     :1957.5.17
1-5 Bill Hardman (tp) , Jackie McLean (as) , John Coltrane (ts) , Mal Waldron (p) , Julian Euell (b) , Art Taylor (ds)
6-8 Idrees Sulieman (tp) , John Coltrane (ts) , Sahib Shihab (bs,as) , Mal Waldron (p) , Julian Euell (b) , Ed Thigpen (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ



 1-5でのジャッキーマクリーンとコルトレーンの共演はこのアルバム以外ではないという、そういう意味では貴重盤。しっかり写真も残っていました。



 コルトレーンもいいけどジャッキーの音にも痺れた。

 「恋に恋して」。

 アルトサックスならではの上ずった音。
 アルトの魅力に伸されました。
 バトンタッチしたコルトレーンもジャッキーのノリに引っ張られるように魅力的なフレーズを作り出していきます。


 それでは、少し寄り道して動く若かりし頃のジャッキーをどうぞ。



 さあそして「今宵の君は」。
 アルトのサヒブさんは、今回のすぐ後にレコーディングされた<Coltrane>でバリサク吹いてた人ですよね。この曲では素晴らしく歌うアルトを披露しています。アイドリーズさんのトランペットの後に登場するコルトレーンは、独特のフレーズでダブルテンポを交えながらの素晴らしいアドリブで対抗しています。

 「恋に恋して」も「今宵の君は」も好みの歌ものスタンダードナンバー。この辺りの180PBMぐらいのミドルテンポで、A-A-B-A形式で、Ⅱ−Ⅴ多用のポップなやつを気持ちよく吹き続けられるようになりたい。



 全体的には重い印象のアルバムですが、丁寧な3管アレンジとそれぞれのアドリブが聴きどころ。
 ちなみに2,3,8は重くて暗くて耐えられなくて、いつもスキップしておりますが。

2014/11/30

SONNY ROLLINS Vol.1 ソニー ロリンズ ボリューム ワン/ Sonny Rollins ソニー ロリンズ

SONNY ROLLINS Vol.1
1. Decision     :1956.12.16
2. Bluesnote     :1956.12.16
3. How Are Things In Glocca Morra     :1956.12.16
4. Sonnysphere     :1956.12.16
5. Plain Jane     :1956.12.16
Donald Byrd (tp) , Sonny Rollins (ts) , Wynton Kelly (p) , Gene Ramey (b) , Max Roach (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 プレスティッジを離れブルーノートに移籍しての第一弾。レーベルが変わると雰囲気も変わり、ぐっと落ち着いた50'sモダンジャズの王道的なアルバムに仕上がっています。
 このジャケット、文字横が正しい向きですよね、シンプルデザインの好例。


 1曲目はもうハードボイルドな、そう、この辺に合いそうな。


あるいは事件屋稼業的な。



 スタンダード1曲を挟んで、その他はすべてオリジナル曲で固めています。

 ソニーロリンズのオリジナル曲テーマの特徴的のひとつは「循環メロディ」。同じメロディをタイミングを変えながら循環させるというアイデア・不思議なズレ感。
 もうひとつは「モチーフ繰り返し」。あるモチーフをテーマの中に何度も入れ込むというもの。これも不思議ズレ感が心地いいですね。
 そして、終わりそうで終わらないエンディング。
 それらを組み込みながら魅力的なテーマを作るっていう、稀代のインプロヴァイザーだからこそなせる技なのかなと思います。

 そういえば、クラシックでいう「カノン」とか「フーガ」という形式も主題を繰り返したり、ずらしたり、調を変えたり、更には逆から演奏したりということを組み合わせて作られた曲で、そういったことがソニーロリンズの作曲のヒントになっていたのではないかと想像してるんだけど、どうでしょうか。

 「バッハとソニーロリンズの関連性に関する考察」なんてね。



 それらの曲の間に入ったスタンダード「グロッカモーラはどうなってるんだろう」も二重丸です。しっとりと、歌うようなソフトブロウで聴かせます。丁寧に、そして徐々に音数を増やしながら盛り上げていくところは、素晴らしいの一言。



 そして、ドナルド バードとはこのアルバムが初共演。すごくマッチしてると思うんだけど、これ以降20年共演がないという残念さ。すごく合ってると思うんだけどなぁ。



2014/11/11

THE CATS ザ キャッツ / Tommy Flanagan,John Coltrane,Kenny Burrell トミー フラナガン , ジョン コルトレーン , ケニー バレル

THE CATS
1. Minor Mishap     1957.4.18
2. How Long Has This Been Going On ?     1957.4.18
3. Eclypso     1957.4.18
4. Solacium     1957.4.18
5. Tommy's Time     1957.4.18
Idrees Sulieman (tp except2) , John Coltrane (ts except2) , Tommy Flanagan (p) , Kenny Burrell (g except2) , Doug Watkins (b) , Louis Hayes (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ


 4人の連名アルバムになt2以外はトミー フラナガンのオリジナルということで、トミーのリーダー作みたいなもんです。オリジナル曲のテーマはどれも魅力的で、レパートリーにしたくなるような好みの旋律。ポップでありながらちょっと変わったメロディーが食欲をそそります。2の選曲も渋く、4ビート・バラード・カリプソ・ブルースと、全体的にバラエティ豊かな楽しいアルバムになってます。フロント2管にギターという組み合わせも変化に富んでいいですよね。



そんな中、コルトレーンの独特のノリが曲に化学反応を起こす役割を担ってます。

 なんでそう聴こえるんだろう。

 50年代のコルトレーンの魅力は、どうも言葉で言い表すことができません。
 メロディックではあるけれどビバップ的なスムーズさが無くて、捉えどころがなく誰れっぽくもない、正にワンアンドオンリーな音の流れ。
 本当に不思議な魅力を持っています。
 50年代中頃のぎくしゃくした危うさから、それを50年代後半に向かって一気に強烈な個性に変貌させる過程を聴くのが大好きだという方も多いのではないでしょうか。





 そして2日前のセッションから1曲。

THELONIOUS HIMSELF
8. Monk's Mood     1957.4.16
John Coltrane (ts) , Thelonious Monk (p) , Wilbur Ware (bass)
Reeves Sound Studios, NYC

 ワンアンドオンリーといえばこの方、モンクさん。
 コルトレーンが一時期お世話になって何枚かの共演アルバムを残しています。
 で、この曲が初共演作。

 ほぼ全編メロディーのみの構成なので、たまにはじっくりと曲と音だけに耳を傾けましょうか。



2014/10/18

LIKE SOMEONE IN LOVE ライク サムワン イン ラブ / Art Blakey And The Jazz Messengers アート ブレイキー アンド ザ ジャズ メッセンジャーズ

LIKE SOMEONE IN LOVE
1. Like Someone In Love     :1960.8.14
2. Johnny's Blues     :1960.8.14
3. Noise In The Attic     :1960.8.7
4. Sleeping Dancer Sleep On     :1960.8.7
5. Giantis     :1960.8.14
Lee Morgan (tp) , Wayne Shorter (ts) , Bobby Timmons (p) , Jymie Merritt (b) , Art Blakey (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ

 まずリー モーガンが聴かせます、タイトル曲ライク サムワン イン ラヴ。ボビー ティモンズのファンキージャズピアノもアクセントになって、とてもいい仕上がりになってます。大好きな曲なんで何回聴いても聴き入ってしまいます。
 2曲目のリーのブルースでやっとウェインのサックスが登場。やはり独特な音色とフレーズ。緩い音なんですが、個性的な味があります。

 そして3,4,5と続くウェイン節。
 この3曲が結局お蔵入りになったんですよね、6年も。
 と言いますか、そのとき録音した曲の中でブルーノート側が「これ今じゃないよね」って言う曲を集めて、時期を見て出したって言う流れなのかな。
 それだけ録音当時のメインストリームジャズからは外れていて、時代の先端をいく突飛なメロディーだったんでしょうね。

 確かに変なテーマを持つ曲が続きます。
 終わりそうで終わらない例のメロディー。
 それにしても、リー モーガンはどんな曲であろうとも高いレベルのインプロヴィゼイションを持ってきます。ボビー ティモンズだって負けていませんよ。ウェインは言うに及ばず。

 その中でも極めつけはスローワルツの「眠る踊り子は眠り続ける」。
 いつまでも聴いていたい。



 さてアルバムジャケットの話になりますが、どうしたんでしょうか?
 およそジャズメッセンジャーズらしからぬシャレオツなイキフン。
 この頃のジャズは、5年過ぎればシーン全体が根こそぎ変わってしまうというようなスピード感だったのでしょうから、イメチェンを続けながら音楽シーンに生き残りをかけるしたたかさが必要だったのかも知れませんね。





2014/10/15

LIKE SOMEONE IN LOVE ライク サムワン イン ラヴ を演ってみた。

 1944年のカナディアンゴールドラッシュ時代を描いた< BELLE OF THE YUKON >(ユーコン小町! )という映画の挿入歌「恋をしている誰かのように」。
 キャッチーでロマンチックなテーマが印象的で、インプロヴィゼーションへの流れもムードを引き継いでスムーズに行ける曲なんじゃないでしょうか。


 A-B-A-B形式でキーはinB♭でF△。
 F△7とB♭6とD△7に解決するⅡ-Ⅴ-Ⅰでほぼ全編が構成されています。
 Fがフラット1個、B♭がフラット2個、Dが・・・。あれシャープ2個ですね。
 FとB♭は近親調でスムーズにつながるのに、Dはなんだ?
 このDに解決するあたりが一つのポイントということでしょうか。
 Bメロは、|B♭|D△7|D−7|G7|G−7|C7|F△7|とメジャーコードとマイナーコードをくっ付けて主キーのF△に着地しています。


 この曲、すごくいいですよね。
 もしかしたら、これまでやってきた中で一番好きな曲かも。
 すごくシンプルなメロディなんだけど何度聴いても飽きません。
 たくさんのミュージシャンが取り上げていますが、明るくミドルテンポで演るのがこの曲に合ってるような気がします。

 今回のおすすめはこちら。
 ピアノソロから4ビートに変わるアレンジで、聴くたびに自然とリズムを踏んじゃうこのテンポが最高。
 Bud Powell - Like Someone In Love



2014/09/27

A BLOWING SESSION ア ブローイング セッション / Johnny Griffin ジョニー グリフィン

A BLOWING SESSION
1. The Way You Look Tonight     :1957.4.6
2. Ball Bearing     :1957.4.6
3. All The Things You Are     :1957.4.6
4. Smokestack     :1957.4.6
Lee Morgan (tp) , John Coltrane, Johnny Griffin, Hank Mobley (ts) , Wynton Kelly (p) , Paul Chambers (b) , Art Blakey (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 リーダーのジョニー グリフィン(年長者かと思いきやコルトレーンの方が年上でした。もちろんアートブレイキーは別格。)がテクニックを遺憾なく発揮して、これでもかというほどのハードブローで煽り立てます。わたしどうも超高速テンポはあまり好きではないようで、いつも1は飛ばして2から聴き始めてました。
 それにしてもメンバーがすごい、さすがですブルーノート。当時の若手有望株、今にするとレジェンドたちの超豪華なセッションで、各々が素晴らしいプレイを聴かせてくれます。ただしフロントが4人もいるからちょっと油断すると通り過ぎちゃいますよね、集中して聴かなくちゃ。
 ジャケット写真の飛び立つ鳥は、1955年に亡くなったバードの子供たちという意味だそうですが、そう言われればなるほどね。







 

 さすが、ブルーノートは貴重なセッションフォトが残ってます。

 これらは、ブルーノート レコードの経営者のひとりでありフォトグラファーであったフランシス ウルフによるもので、それらの写真を使ったリード マイルスのグラフィックデザインがかの有名なジャケ群を生み出しました。






2014/09/21

GONE WITH GOLSON ゴーン ウィズ ゴルソン / Benny Golson ベニー ゴルソン

GONE WITH GOLSON
1. Staccato Swing     :1959.6.20
2. Autumn Leaves     :1959.6.20
3. Soul Me     :1959.6.20
4. Blues After Dark     :1959.6.20
5. Jam For Bobbie     :1959.6.20
Curtis Fuller (tb) , Benny Golson (ts) , Ray Bryant (p) , Tommy Bryant (b) , Al Harewood (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 ゴルソンハーモニーでテーマを演って、アドリブはあくまでも円やかに、ゴルソン流ハードバップで勝負しました的な作品です。自作曲は相変わらず「これぞベニー ゴルソン」という旋律。

 スタンダードは歌心たっぷりに、自作曲はちょっとひねったメロディで、というのがこの頃のハードバップのトレンドでしょうか。

 ゴルソンのサックスはタンギングを弱くした流れるようなプレイで、独特な味わいですよね。これは16分音符のフレーズも一緒で、ハードブロウであっても滑るように歌い上げているのが特徴的です。今回は<THE OTHER SIDE OF BENNY GOLSON>同様に、トロンボーンとの2管による暖かい雰囲気を持ったアルバムになっています。



 ところで、初期の頃「ニュー・ジャズ」を名乗ってたプレスティッジ・レコードが初心に返ろうと思ったのか未練があったのか、1959年に傍系レーベルを立ち上げて「ニュー・ジャズ」と名付けました。
 このアルバムも'59年録音なんで、ニュージャズレーベル立ち上げ当初のアルバムです。
 アルバムジャケットは、相変わらずプレスティッジしていますが。







2014/09/18

MY ONE AND ONLY LOVE マイ ワン アンド オンリー ラヴ を演ってみた。

 ポーランド出身のピアニスト アルトゥール ルービンシュタイン作曲の「ロマンス」をベースに、ガイ ウッド&ロバート メリンによって作られた曲。1947年に作られて、翌48年にトニー マーティンがレコーディング、1954年にはフランク シナトラがレコーディング。その後、たくさんのミュージシャンが取り上げることでスタンダード入りを果たしました。


ペテルブルクの夜会より「ロマンス」Op.44-1


 今、トルストイの「戦争と平和」を読み返しているので、この元ネタ曲が心に沁みます。娘のピアノ発表会でも誰かが弾いてたような気がします。こんなところで再会するなんて。





 さて、それでは曲の中を少し見てみましょうか。


 A-A-B-A形式。
 キーはinB♭でDメジャー、BセクションはF♯マイナーに転調しています。
 シャープ2個からシャープ3個への近親調への転調。


 それにしても、コードがたくさんありますね。

 Aセクションでは細かいところでG△が出たり、A△が出たり。
 どちらもキーのD△に近いから、違いはC(C♯)とG(G♯)ですか。

 BセクションはF♯-とそのⅡ-Ⅴ。
 ここはF♯-一本で。


 それでも、歌ものですからアドリブは歌心たっぷりに演りたいですね。





 では今回のお手本、ド定番のこちらをどうぞ。





2014/09/08

THE BIG BEAT ザ ビッグ ビート / Art Blakey & The Jazz Messengers アート ブレーキ― アンド ザ ジャズ メッセンジャーズ

THE BIG BEAT
1. The Chess Players     :1960.3.6
2. Sakeena's Vision     :1960.3.6
3. Politely     :1960.3.6
4. Dat Dere     :1960.3.6
5. Lester Left Town     :1960.3.6
6. It's Only A Paper Moon     :1960.3.6
Lee Morgan (tp) , Wayne Shorter (ts) , Bobby Timmons (p) , Jymie Merritt (b) , Art Blakey (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ


 当時のジャズメッセンジャーズは、<MORNIN'>以来ファンキージャズの先駆けとしての存在だったと思われますが、特にピアニストのボビー ティモンズが作る曲にその称号が与えられているということと思います。
 もしかして、いわゆるファンキージャズの基本ってBPM125ぐらいの『ワンツー、ワンツー』で進むビートなのでしょうか?
 1・3・4とそれぞれ作者は違うもののそのリズムアレンジになってます。

 そしてウェイン節炸裂は<Sakeena's Vision>、更に<Lester Left Town>。
 これぞウェイン作の異次元テーマ。
 どこが始まりでどこが終わりなのか分かり難いテーマであることがウェインの作品の特徴の一つだと思います。

 6のアレンジも面白いですね、あの<ペイパームーン>じゃないみたいでホント新鮮です。



 ウェインのインプロヴィゼーションって、捉えどころがない「霧」のような感じがします。


 不思議な浮遊感。
 強く吹いても拡散するようなイメージ。


 ウェインのサックスソロとリー モーガンのきらびやかなトランペットのコントラストが刺激的なジャズメッセンジャーズを今後色々と味わっていきたいと思います。

 ウェイン ショーターについての情報は、ウェヴサイト 「ウェイン・ショーターの部屋」 から収集しています。膨大な情報と音源を元にしているので説得力があります。また、すごく詳細に、体系的にまとめているサイトで大変勉強になります。






2014/08/21

DEXTER CALLING... デクスター コーリング... / Dexter Gordon デクスター ゴードン

DEXTER CALLING
1. Soul Sister     :1961.5.9
2. Modal Mood     :1961.5.9
3. I Want More     :1961.5.9
4. The End Of A Love Affair     :1961.5.9
5. Clear The Dex     :1961.5.9
6. Ernie's Tune     :1961.5.9
7. Smile     :1961.5.9
Dexter Gordon (ts) , Kenny Drew (p) , Paul Chambers (b) , Philly Joe Jones (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ

 ジャズシーンからの長期離脱を経て、その後の契約先となる<ブルーノート>での第一回復活セッション、これが1961年5月6日と9日の2日間行われました。
 2日間のセッションのうち1曲だけお蔵入りして、そのほかの曲はそれぞれの日付毎に、前回ご紹介した<DOIN' ALLRIGHT>と今回紹介の<DEXTER CALLING...>に収められています。

 復活第一弾の'60年セッション(<THE RESURGENCE OF DEXTER GORDON>収録)は半分が3管、前回の'61年5月6日セッションが2管、そして満を持しての5月9日セッションは、ケニードリュー・ポールチェンバース・フィリージョージョーンズとのワンホーンカルテット!いよいよフロント1管で勝負に出ました。


 さて、選曲を見てみますと、これがなかなか面白い。

 1,3,6はシャーリー クラーク監督の実験映画<The Connention>のために書かれた曲とのこと。
 ジャンキージャズマン達の日常を捉えたドキュメンタリータッチの映画みたいだけど、デックスの3曲がどのように関わっているかは不明です。

 是非一度見てみたい映画ですが、DVDで30,000~40,000円と驚きのプレミア価格なんですよね。
 下の映像に映画の一部が使われていますので、これとYouTubeの映画予告編で我慢します。
 でもいつかは全編見てみたい。

 





 話を戻して_

 2,5はケニードリュー作のミディアムアップナンバー。
 そして、4は1950年の歌ものスタンダードナンバーで邦題<情事の終わり>。スローな元歌をデックスはアップテンポで軽快に演ってます。

 知らなかったのですが7も有名曲のようで、1936年のチャーリー チャップリン主演「モダンタイムズ」の挿入歌が元歌とのこと。

 後日付けられた歌詞を元にタイトルが決まり、スタンダードの仲間入りとなった曲でした。



 こんな風に1枚のアルバムからどんどん話が広がってのはすごく楽しいもので、またそれを思い返しながら聴き直すと違ったイメージを膨らませることができます。

 聴けば聴くほど味が出る。

 このアルバムに限らずジャズアルバムってそういう傾向があって、インパクト勝負ではなく何度も聴いたうえで評価が高まるっていうそんな音楽の代表だと思います。





2014/08/12

ROLLINS PLAY FOR BIRD ロリンズ プレイ フォー バード / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

 ROLLINS PLAY FOR BIRD
1. Bird Medley : I Remember You/My Melancholy Baby/Old Folks/They Can't Take That Away From Me/Just Friends/My Little Suede Shoes/Star Eyes     :1956.10.5
2. Kids Know     :1956.10.5
3. I've Grown Accustomed To Her Face     :1956.10.5
Kenny Dorham (tp) , Sonny Rollins (ts) , Wade Legge (p) , George Morrow (b) , Max Roach (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ



 いいですねー、何度聴いても飽きないリラックスした演奏です。
 もしかしたら、ソニー ロリンズのアルバムの中で一番好きかもしれません。

 前半は、チャーリー パーカーの十八番をメドレーにしたもの。1曲ずつインプロバイザーが変わって曲が進み、最後の曲だけは2管+ピアノでソロを回して締めるという流れ。
 テナー・トランペット・ピアノがそれぞれ交代で演奏を進めるのは、曲が変わったってことを分かり易くするためでもあるのでしょうか。
 各曲内にはマックス ローチのドラムバースがアクセントとして置かれ、心地いい演奏と緊張感ある間合いにより更に演奏を素晴らしいものにしています。
 もちろんメインディッシュはソニー ロリンズのテナーテクニック。じっくりと耳を澄ませて味わいたい約27分間です。

 バードメドレーの次はソニー ロリンズお得意のキュートなワルツ。<VALSE HOT>もイイですけどこっちもイイ。
 そして、締めはミュージカル<マイ フェア レディ―>の挿入歌<忘れられない彼女の顔>。ミュージカルファイナルの曲ということでこのアルバムでも最後に配置したのでしょうか。






 これは、<ROLLINS PLAY FOR BIRD>の<エスクァイア レコード>での再発ジャケット。
 <エスクァイア レコード>のジャケットは検索するときにいつも気になる存在で、「良い味出してる」と「これヤバいでしょ」のギリギリの線。

 <RELAXIN'>だってこの通り。



 
SONNY BOY
4. The House I Live In     :1956.10.5
Kenny Dorham (tp) , Sonny Rollins (ts) , Wade Legge (p) , George Morrow (b) , Max Roach (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 そして、同じ日に録音された1曲もチェック。
 このアルバムの他の4曲は<TOUR DE FORCE>でチェック済みです。
 何故か分散収録されてしまって、今ではこのアルバムが中途半端になっちゃってます。
 CD発売時に4の<The House I Live In>が<ROLLINS PLAY FOR BIRD>のボーナストラックになっているようでその方が整理されてイイとも思いますが、やはり<ROLLINS PLAY FOR BIRD>は<I've Grown Accustomed To Her Face>で締めてもらいたいとも思うし。<The House I Live In>もすごくイイ演奏だからこっちで締めてもいいかも・・・と、確かにすごく迷います。


 既発のものと3曲もダブってたという、ちょっとファンにとっては騙された感があったアルバムだと思いますが、プレスティッジとしては2曲が未発表だからイイか的な乗りだったのでしょうか。

 パーソネルとしてケニー ドーハムが書かれていますが、ほんのちょっと遠いところで鳴ってるだけで、殆どソニー ロリンズのワンホーンです。
 そういうことで、同年12月7日のワンホーンセッションのものと一緒にしたのでしょう。




 これは珍しい。'56年10月セッションの5人が集まった写真!



2014/08/05

BENNY GOLSON AND THE PHILADELPHIANS ベニー ゴルソン アンド ザ フィラデルフィアンズ

BENNY GOLSON AND THE PHILADELPHIANS
1. You're Not The Kind     :1958.11.17
2. Blues On My Mind     :1958.11.17
3. Stablemates     :1958.11.17
4. Thursday's Theme     :1958.11.17
5. Afternoon In Paris     :1958.11.17
6. Calgary     :1958.11.17
Lee Morgan (tp) , Benny Golson (ts) , Ray Bryant (p) , Percy Heath (b) , Philly Joe Jones (ds)
Nola's Penthouse Sound Studios, NYC

 1958年のベニー ゴルソンは、10月にジャズメッセンジャーズで超有名盤<Mornin'>を録音し、その翌月に自身名義で<THE OTHER SIDE OF BENNY GOLSON>と当アルバムの2枚を録音、その2日後からジャズメッセンジャーズのヨーロッパツアーに同行するという充実の日々を送っていたようです。
 前年に発表した2作も含めて、それまで書き溜めてあった曲を一気に世に出して開花させ始めた時期であったということができると思います。




 これまで聴いてきたリーダー作3枚は、アレンジに重きを置いていたように思いますが、このアルバムはストレートなハードバップ路線でまとめているような印象です。

 また、曲がイイ。
 アップテンポものもスローも、いわゆる歌ものスタンダードとは違う、ちょっとひねったメロディが効いています。
 1・2・3とブルースを挟みながら煽って、4・5で収め、6でクロージングっていうアルバム全体の流れが絶妙。
 そしてタイトルの通り、メンバーをフィラデルフィア出身者で固めて、若いころから地元でセッションするなど顔を合わせていたのでしょうか、チームワーク抜群の演奏を聴かせてくれます。

 前3作で「ベニー ゴルソンはちょっと路線が違うな」と思った人は、この作品でまた戻ってくることでしょう。





 ブルーノートから再発されて、ジャケットがこう変ったようです。
 ユナイテッド アーティスツ盤もそうですが、もちょっと男っぽいというか、ごつごつした感じでもよかったんじゃないかなぁ。



2014/07/25

INTERPLAY FOR 2 TRUMPETS AND 2 TENORS インタープレイ フォー 2トランペット アンド 2テナーズ / The Prestige All Stars ザ プレスティッジ オールスターズ

INTERPLAY FOR 2 TRUMPETS AND 2 TENORS
1. Interplay     :1957.3.22
2. Anatomy     :1957.3.22
3. Light Blue     :1957.3.22
4. Soul Eyes     :1957.3.22
5. C.T.A.     :1957.3.22
1-4. Idrees Sulieman (tp) , Webster Young (tp) , John Coltrane (ts) , Bobby Jaspar (ts) , Mal Waldron (p) , Kenny Burrell (g) , Paul Chambers (b) , Art Taylor (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ
5. John Coltrane (ts) , Red Garland (p) , Paul Chambers (b) , Art Taylor (ds)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ


 プレスティッジオールスターズ名義のアルバムはたくさんあるようで、毎回違ったメンバーで企画されています。
 このアルバムは全曲マル ウォルドロンが提供し、2本のトランペットと2本のテナーサックスを楽しむという内容のもの。フロントが4人いるため、気が付くとソロイストがバトンタッチしているという、そしていつの間にかケニー バレルのギターが流れているという、ある意味気が抜けないアルバムです。

 コルトレーンとボビージャスパーのテナー対比に絞っても面白く聴けます。
 コルトレーンは相変わらずへんてこりんですが、いつになくメロディックで、少なくとも事前に自分が持っているフレーズを整理整頓して挑んだという印象です。
 ボビージャズパーもなかなか聴かせます。フレーズも音色もスタンゲッツより好きです。


 4.は5年後にコルトレーン自身のアルバムでも取り上げ、スタンダードの仲間入りを果たしているもの。マル ウォルドロン特有の重い曲ですが、コルトレーンは気に入ってたんでしょうね。

 ボーナストラックの5.がまたイイ。< I GOT THE RHYTHM >のコード進行を拝借したジミー ヒースの作品。マイルスのブルーノート盤でも演ってますが、テーマの変則リズムが効いてます。今回ちょっと良さを見直した曲です。
 たまにあります、何気なく聴いていた曲なんだけど何かのきっかけで大好きになる曲。そのパターンです。
 「C.T.A.は何の略?」って思いますよね。
 諸説あるようですが、人の名前の略か、女性のパーツ名(?)の略というのが一番もっともらしいみたいです。作曲者のジミー ヒースがいまだ健在なので誰か確認してほしいです。ジミー ヒース現在88歳、曲を作ったのは60年以上前の事(!)、覚えてるかなぁ。



後姿ってあまり見ないんで載せました。
これだって参考になりますよ。



2014/07/16

TOUR DE FORCE ツアー デ フォース / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

TOUR DE FORCE
1. Ee-Ah     :1956.12.7
2. B. Quick     :1956.12.7
3. Two Different Worlds     :1956.12.7
4. B. Swift     :1956.12.7
5. My Ideal     :1956.12.7
6. Sonny Boy     :1956.12.7
Sonny Rollins (ts) , Kenny Drew (p) , George Morrow (b) , Max Roach (ds) , Earl Coleman (vo 3&5) , Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ

 ソニー ロリンズにとってプレスティッジ最後の録音となったこのアルバム、テーマレスセッション3曲に、アール コールマンのボーカルを入れたもの2曲を挟んだ構成になっています。


 こういう構成は初めて聴きますが、ちょっと違和感があります。
 耳元で囁くように歌われてもねえ、女声ならともかく。
 耳元で囁くように演るマイルスのハーマンミュートなら大歓迎なのですが。

 とは言え、そのボーカル曲もボーカル以外の所はすごくいいんですよね、なのでスキップしようかどうかいつも迷います。結局は全部聴きますけど。



 歌もの以外の1・2・4はというと、ほとんどフリージャズ。
 まあ、いわゆるフリーとは違ってハードバップ的コード進行上のフリーブローイングなので、何が何だかわからないというわけではありません。


 でもなぁ、これだけテクニックを駆使して吹いているのに、なんか物足りないんですよね。

 やはり、テーマがあってリーダーのソロがあって、メンバーのソロが続いて、最後にテーマでまとめて終わるというビバップ~ハードバップの様式美を欲してしまいます。
 いや、1・2・4もそういう様式なのかもしれませんが、そうじゃなく聴こえてしまいます。

 最後の6はCDのみのボーナストラック。
 同じ日の録音なんですけど、これはハードバップしていていい感じです。






  マックス 「ソニー、今回はずいぶんベラベラ吹くじゃねーか、どうした?なんかあったのか?」

  ソニー  「この間、モンクさんに『もっと俺みたいに早く演りなよ』って言われたもんですから。」



2014/07/14

大切な音。

 マイナスワンに合わせてアドリブしてみるとき、これまでは以下のことに主眼を置いて演ってました。

① メロディーを崩したり、装飾したりしながらラインを発展させる
② 主キースケールを中心に、転調した時は転調時の主キースケールに変えながら演る
③ セブンスコードにはアウト感を持たせるためにホールトーンスケールを当てはめてみたりする




 最近参考にしている教則本には、曲についている「コード」にはそのコードを特徴づける音があり、その音をガイドとしてアドリブ練習をする_という方法が紹介されています。


 そのコードを特徴づける音とは、「3rd」と「7th」。


 最初に書いた「いままで意識していたこと」で演ると安定的なラインを作ることができ(③でちょっと不安定感を出してみたりしますが)、「3rd」と「7th」をガイドトーンとして演ってみると、今まで出てこなかった不思議なラインができるような気がします。
 つまり、今まで主眼を置いていたことじゃないポイントでラインが作られるので、安定的じゃなく、浮遊感のある、ちょっと外れたような感じがします。

 「3rd」と「7th」だけをガイドトーンとするのではなく、「ルート」や「5th」、「テンションノート」なども混ぜながら、ただし明確にガイドとする音をその都度決めて演ることが大事みたいです。





 たしかに「いままで意識していたこと」は何も考えずにイメージだけで演れたのに、「3rdと7th」はどんどんコードが変わっていくので頭を使います。

 なるほど、「いままで意識していたこと」はアドリブのほんの入り口で、「3rdと7th」は応用編の入口ということのような気がします。





2014/07/08

BRILLIANT CORNERS ブリリアント コーナーズ / Thelonious Monk セロニアス モンク

 盛岡に「珈琲 洋酒 パノニカ」というお店があるみたいで。
 すごく気になっていて、是非行きたいと思ってるんだけどなかなか行く機会がなく。
 ジャズに絡んでいるお店には、絡ませてもらいたいのです。


 盛岡にはジャズライブを聴かせるお店がちらほらありますが、全く行ったことないくせにこんなこと言うなんて。


 やはり行かねば、行きたい、と思うこの頃。



BRILLIANT CORNERS
1. Brilliant Corners     :1956.10.15
2. Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are     :1956.10.9
3. Pannonica     :1956.10.9
4. I Surrender, Dear     :1956.10.15
5. Bemsha Swing     :1956.12.7
1-3 Ernie Henry (as) , Sonny Rollins (ts) , Thelonious Monk (p) , Oscar Pettiford (b) , Max Roach (ds) , Reeves Sound Studios, NYC
5 Clark Terry (tp) , Sonny Rollins (ts) , Thelonious Monk (p) , Paul Chambers (b) , Max Roach (ds) , Reeves Sound Studios, NYC

 1曲目からモンク全開です。
 どれもこれも型破りで魅力的な曲ばかり。突然<4>でスタンダードを演ってみせる流れもまたイイですね。
 アルバムジャケットもイイ!一見「合わせ鏡のような面白いデザインだな」って程度ですが、じーっと眺めていると不思議な感覚に囚われます。モンクの異次元さを良く表しているデザインだと思います。こういうジャケットを鑑賞する時は、特にもレコードジャケットサイズであってほしいです。


 モンクの曲&ピアノとソニー ロリンズのテナーの相性、意外にいいんじゃないですか?
 これも最高のサックステクニックあってこそ、これら変な曲を吹きこなすことができるのだ思いますが。

 ソニーロリンズ名義の1954年録音の< MOVING OUT >に収められている< MORE THAN YOU KNOW >で二人は共演済みですが、そのセッションはモンクオリジナルではない曲でしたので、普通のモンクです。それ以前には1953年に二度、1957年にブルーノートで一度あるのみ。ライブではたくさん共演していると思われますが、2人とも所属レコード会社の看板アーティストですので、レコーディングには制約が多かったということでしょうか、もっと聴きたかったのになぁ。








2014/06/23

HOW TO IMPROVISE ハウ トゥ インプロヴァイズ / Hal Crook ハル クルック

 完全に衝動買いです。
 練習に行き詰り感があったので、こういう理論本の買い時かなぁと思って。
 結構高いなぁと思いつつ、買う前にスマホでAmazon検索して評価を確認したうえでの納得購入。
 Amazonでは品切れ状態ということもあり踏ん切りがつきました。



 まだ、取っ掛かりの段階ですが、セクション1の初めからガツンとやられました。
 アドリブの教則本なのに、アドリブしないことの重要さから始まっています。

 すごく納得、得るもの多し。



 進めるには相当時間がかかりそうですが、長丁場は嫌いではないのでこれからどんな話が出るのか本当に楽しみです。



2014/06/18

MATING CALL メイティング コール / Tadd Dameron with John Coltrane タッド ダメロン ウィズ ジョン コルトレーン

MATING CALL
1. Mating Call     :1956.11.30
2. Gnid     :1956.11.30
3. Soultrane     :1956.11.30
4. On A Misty Night     :1956.11.30
5. Romas     :1956.11.30
6. Super Jet     :1956.11.30
John Coltrane (ts) , Tadd Dameron (p) , John Simmons (b) , Philly Joe Jones (ds)



 一曲目から不思議な響きをテーマに持つ曲です。コルトレーンのソロもエキゾチックで、なんか引き込まれるような感じ。
 すごくいい曲ばかりなんですよね、タッドのクリエイターとしての才能を存分に楽しめる内容です。

 そしてコルトレーン!
 アルバム全体を通して、コルトレーンのアドリブはキッチリ整って聴こえます。事前に曲を渡されて練習してレコーディングに臨んだのではないでしょうか。
 タッド ダメロンの段取りあってのアルバムという印象。
 パーカー・ディジー世代の大先輩ですから、コルトレーンも「ちゃんとしなきゃ」って思ったんでしょうね。



 残念ながら、タッド ダメロンとコルトレーンの接点はこのアルバムのみ。
 1949年頃、コルトレーンがアルトサックス担当としてディジーガレスピーのビッグバンドに参加した時の「タッド ダメロン・バブス ゴンザレス・ディジー ガレスピー」という3者連名アルバムがあるようですが、共演はしていません。

 相性良さそうだったので、もっと共演作品を残して欲しかったですね。




 若いころはプレイヤーとしてよりも作編曲者として活躍していたと言われているタッド。
 ジャンキー生活により逮捕され厚生施設で暮らし、その後癌により早逝するという、なんとも自己破滅的ジャズ的人生を駆け抜けました。



2014/06/15

disk UNION jazz TOKYO ディスク ユニオン ジャズ トーキョーへ行ってみた。

 しばらく前になりますが_



 ディスク ユニオン ジャズ トーキョーへ行きました。
 宿泊ホテルに近かったこともあって、東京滞在中3回も顔を出しちゃったりして。

 1階のエントランスから階段を上がると、最初に天吊りのJBLから流れ出るハードバップサックスにノックアウト。久しぶりにスピーカーから出る大音量ジャズを聴いて、もうスピーカーの下から動けなくなり、アルバム丸ごと聴いちゃいました。


 そのあと、さほど広くはない店内をくまなく歩き回り、一つのコーナーで30分以上居座るという長時間滞在コース。
 各コーナーとも品ぞろえ充実のアミューズメントパークでした。



 レコードコーナーは、高額な原盤や有名なジャケット写真が展示され、眺めているだけで幸せな気分になります(それにしても原盤は高い!)。




 滞在先界隈はなんでもカレーの聖地らしく(昔はそんな称号あったかなー?)、共栄堂のスマトラカレーと、エチオピアの豆カレー(辛さ10倍)を食い、土産には老舗大丸焼き茶房の大丸焼きを10個買いました。

 あー、全部うまかった。



2014/06/12

SOMEDAY MY PRINCE WILL COME いつか王子様が を演ってみた。

 1937年のアカデミー賞ノミネート作品であり、ディズニーものとしてはピノキオの挿入歌「WHEN YOU WISH UPON A STAR(星に願いを)」に次ぐ人気曲。
 マイルス1964年バージョンの「マイルス~ハンク モブレー~(ウィントン ケリーを挟んでの)コルトレーン」の流れがたまりません。




 曲は16小節のABACパターンでシンプルな構成ですが、コード進行は疑問点がいっぱいです。
 かろうじて下に書く2ヶ所に気が付きました。

 (1)Ⅱ-Ⅴ-Ⅰが2か所
 (2)ルートが半音づつ下がっていってⅡ-Ⅴに進むところ


 あとは、Aの部分にセブンスコードが沢山出てきますが、どんな意味があるのでしょうか。

 C△7→E7#5が3度進行で、F△7→A7#5も3度進行で、
 セブンスコード部分は4度進行((C△7→)E7#5→(F△7→)A7#5→(D-7→)A7#5→D7→G7)。


 ・・・・・ 今の力ではここまでしか分かりません。


 こういう曲が「シンプルだけど変わっている曲」として、ミュージシャンにとってはオモチャのような存在なんでしょうね、いろいろ演ってみたくなる曲です。





 そして、最近のお気に入りは、このブレッカー ブラザースのライブバージョン
 8ビートでテーマは緩く、マイケルのアドリブはめちゃ熱い。






2014/06/04

THERE IS NO GREATER LOVE ゼア イズ ノー グレーター ラヴ を演ってみた。

 この曲は、1936年公開の映画<The Music Goes‘Round>のためにアイシャム ジョーンズ アンド ヒズ オーケストラが録音した<Life Begins When You’re in Love>のB面曲という地味な存在でしたが、ポップチャート20位を記録するヒットとなったようです。



 オリジナルの情報があまりネット上になく、映画についても地味な存在だったように思われます。
 映画のポスターを見ても、一押しではないものとして扱われていたようですもんね。

 でも、そんな扱いとは無関係に<THERE IS NO GREATER LOVE>はスタンダードとして生き残り、今日まで受け継がれてきた偉大な曲の一つとして存在しています。

 何ともたくましい生命力!



 オリジナルキーはin B♭でCメジャー。
 A-A-B-A形式で途中Aマイナーに転調します(平行調への転調ですね)。


 A部の2~5小節目以外はⅡ-Ⅴ-Ⅰで構成されています。
 ということは、A部の2~5小節目の 「 F7 → B♭7♭5 → A7 → D7 」 がこの曲のコード進行上のポイントということでしょうか。
 全て7thコードで前後とも関わりがないように見えるのですが、いや何かが隠されているんでしょうね、今の知識では分かりません。

 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰの部分はメロディックに、あるいはⅤのドミナント7thをアウトに、またはリハーモナイズして、などなどいろんなアプローチがあることをおさらいしながら取り組みましょう。



 そしてあとはアドリブするのみ。

 最近取り組んでいるのが、お気に入りのプレーヤーのアドリブを聴いては吹き、吹いては聴きを繰り返す方法です。

 その場合に困ることは、プレーヤーによって演奏キーが異なること。1人目の演奏と2人目の演奏のキーが違う場合です。(結構な確率であるんですよね。)


 そこで役立つのがこのアプリ。
 


 これまでは主に、キーを変えずにスピードを落として再生することでアドリブコピーするときに使っていたのですが、スピードそのままでキーを変えてオリジナルキーにして使うことも多くなりました。

 ただし、頭に入れておかなきゃなんないのは、キーを変えているので当然変える前の指使いとは違ってしまうこと。ストックフレーズを多くするために使うのであって、そのプレーヤーが多用するリックを手癖的に覚えたいという場合はNGです(いや、もしかしたらその方が新しい発見があるかもね)。

 オリジナルキーとだいぶ離れて演奏している場合も厳しいです。かなり低い音域か、かなり高い音域での演奏になっちゃいますもんね(いや、このパターンもフラジオの練習にはイイかも)。



 まあ、こういうものを使って練習するにせよ、結局は身体に沁み込まなきゃ自分のモノにはならないということでしょうから、何はともあれ時間がある限り楽器と触れ合うことが大切な事なのかなと思います。

2014/05/28

SAXOPHONE COLOSSUS サキソフォン コロッサス / Sonny Rollins ソニー ロリンズ

SAXOPHONE COLOSSUS
1. St. Thomas     :1956.6.22
2. You Don't Know What Love Is     :1956.6.22
3. Strode Rode     :1956.6.22
4. Moritat (Mack The Knife)     :1956.6.22
5. Blue Seven     :1956.6.22
Sonny Rollins (ts) , Tommy Flanagan (p) , Doug Watkins (b) , Max Roach (drums)


 日頃、色々なジャズミュージシャンが演ってるスタンダードをYouTubeから漁ります。
 曲にもよりますが、20曲ぐらい集まる場合があります。

 そして、「サックスで演るスタンダード」のプレイリストを作るのですが、集めた曲たちを全てプレイリストに登録すると、連続再生したときに1時間半ぐらい同じ曲を聴くことになるので、こんどは逆に登録曲をどんどん削っていきます。

 完全に好みの問題なんでしょうが、ソニー ロリンズが演っているのはほぼ残るんですよね。
 どうしても削るに至りません。

 「サックスで演るスタンダード」からソニー ロリンズものを削ったら、サックスの神様に怒られるという心理が働くのか。いや、そうではなくてハードバップサックスの音やテクニックがぎっしり詰まっているプレイだからだと思うんです。


 このサキコロもそう。
 ハードバップがぎっしり詰まってます。
 
 フロントできらびやかなソロを展開するソニーロリンズと、安定感抜群で絶妙なバッキングのトミーフラナガントリオ。サックスの後のピアノソロが曲を落ち着かせること、真夏のかき氷的な存在感です。
 カリプソ調あり、スタンダードあり、ポップ調あり、ブルースありのバラエティ豊かな内容で、お勧めジャズアルバム筆頭にいつも推薦されています。そういう意味でとっつきやすいし純粋に楽しめるアルバムですが、サックス吹きは静かなところで耳を澄ましてソニーロリンズに没頭したいところです。